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一般管理費って何パーセントが妥当なの?
一般管理費に含まれる項目って何ですか?
本記事ではこんな疑問を解決します。
・一般管理費の概要
・工事費の構成
・一般管理費の算出方法について
工事における “経費”って一言で言っても、様々な種類があって混乱しがちですよね。
「現場管理費と一般管理費って何が違いの?」とか、「何パーセントくらいが標準なんだろう? 」
って、最初はなかなか理解に苦しみます。
私も間違った意味で覚えていて、協力業者から上げってきた見積もりが理解できずに苦しみました。
なので、本記事では、経費の中でも重要な項目である“一般管理費“について、「一般管理費 はどんなものか」、役割や重要性などをわかりやすく説明していきます。
一般管理費についての理解を深め、見積もりの作成時や現場管理に役立てていただければ幸いです。
執筆者
『つちとき』管理人|元準大手ゼネコン勤務|土木の現場監督7年|1級土木施工管理技士|書籍『仕組み図解 土木工事が一番わかる』著者
『つちとき』管理人|元準大手ゼネコン勤務|土木の現場監督7年|1級土木施工管理技士|【経験工種類】道路土工事、トンネル、PC上工、橋梁下部工|書籍『仕組み図解 土木工事が一番わかる』出版
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一般管理費とは何ですか?
一般管理費とは企業が会社を運営するために必要な費用です
一般管理費とは、会社を経営していくために必要な費用として、積算上、工事価格として見込む必要がある費用です。
一般管理費:会社の運営に必要な費用
工事とは直接関係なくても、工事の受注企業が会社を運営していく上で必要な費用で、「本支店の経費」「社員の給与や退職金」「福利厚生費」「 会社で使用する事務用品」「事務所の家賃や水道光熱費などの経費」といったものが一般管理費に該当します。
公共工事では、工事価格に一定の利率をかけて算出し、工事価格に含めます。
工事費=消費税相当額+工事原価+一般管理費等
さらに会社の利益や減価償却費も含まれます。
一般管理費等の利率は、社会情勢によって変動するため、固定の利率ではありません。
改定されるので常に最新の情報を調べる必要があります。
後ほど詳しい計算式などを交えて解説しますが、2024年の2月現在は「9.74%〜23.57%」と国土交通省で定めています。
見積もりを出した際に、10%くらいであればおかしい値ではありません
公共工事の入札に参加する場合、 競合に勝つために他よりも安い価格で提案する必要があります。
(入札方法によっては、金額だけで決まるわけではありませんが・・・)
その時に費用から削られるのが一般管理費のような人件費などの経費です。
しかし、適正な価格より低い金額で利益の少ない工事を受けてしまうと、 建設業界で働く人たちの環境は悪化する一方。
そんな状態を防ぐために、 国土交通省は、「ダンピングによる建設業者の不当な経費削減から従業員の労働環境の悪化を防ぐこと」を目的として、一般管理費として工事価格に一定割合をかけて算出した金額を工事予定価格に見込むようになりました。
まずは企業に適切な金額が支払われなくては、従業員の給料へ利益が分配されません
魅力ある業界でないと 「建設業で働きたい」とはならないですよね。
建設業界の健全な会社運営を行うために、工事を受注した会社が最低限の利益を確保できるように、国土交通省が一般管理費の利率を定めていて工事価格に含まれるようになっています。
利率については、社会情勢に合わせて変動していますが、近年では令和4年に変わりました。
一般管理費の利率や工事費の全体の計算方法については後ほど解説しますが、まずは建築と土木の積算方法の根拠となる基準類をについて解説しますね。
建築工事と土木工事では、積算をするうえで基準となる書籍が異なります。
建築は 『公共工事共通積算基準』 で、 土木は国土交通省が監修の『国土交通省土木工事積算基準』 です。
ちなみに一般管理費の内訳は建築も土木も同じです。
一般管理費等は共通仮設費に分類され、 共通仮設費は 「現場管理費」 「一般管理費等」に区分されます。
工事費用の全体像については、後ほど詳しく解説しますが、まずは、積算における一般管理費の内訳を解説します。
一般管理費は分かりましたが、工事価格に含まれるものってそもそも何ですか?
公共工事の工事価格がどのような費用で構成されるのか、詳しく解説しますね
土木工事積算基準では、工事の価格は以下のように構成されます。
それぞれの項目について詳しく解説します。
工事の受注額は、先ほどの図のとおり 「工事原価」 「一般管理費等」「消費税相当額」で構成されます。
工事原価は、 直接工事費と間接工事費を足した費用です。
直接工事費
工事の施工に直接関係する費用のことで、 材料費、労務費及び直接経費の3つ。 具体的には、工事目的物を構築するためのコンクリートや、 鉄筋などの材料や、 施工を行う作業員や建設機械を操作するオペレーターの費用又は、工事に関係する水道や電気などといった費用です。
間接工事費
共通仮設費と現場管理費を足した費用のこと。 複数の目的物あるいは全体に対して共通して投入される仮説費用のうち、仮設の工事用道路など工事目的物ごとに投入量を個別で把握することが困難な共通的な現場費用です。 現場全体の仮説費用や、品質管理試験や品質証明にかかる費用として技術管理費などと、現場従業員の費用や法定福利費などは現場管理費に分けられます。
また、直接工事費と、間接工事費に含まれる共通仮設費を足したものを純工事費といいます。
消費税相当額は文字通り、消費税の部分です。
次に一般管理費等について解説します。
一般管理費は一般管理費等に含まれる費用の一部です。
一般管理費等
一般管理費と税金や、 株式の配当金などから構成される付加利益で構成
よくある質問として「現場管理費と一般管理費との違いは何か?」という疑問を持たれる方が多いと思います。
現場管理費は、現場を管理するのに必要な費用です。
具体的には、
「労務管理費」「安全教育訓練等に要する費用」「事務消耗品」「 交際費 (現場への来客などに対応する費用)」「 現場事務所等で、使用する電力、 ガス、水道などの費用」「工事登録にかかる費用」
現場管理費と一般管理費の違いを表にすると、以下のとおりです。
現場管理費 | 一般管理費 |
---|---|
現場を管理するための費用 | 会社そのものを維持するのに必要な費用 |
現場管理費は一般管理費ともに、 企業の利益を確保するために重要な管理費です
一般管理費ってどのような費用を見込んでいるんですか?
企業の健全な運営のために必要な費用として、 22項目に分かれています
先ほども解説しましたが、一般管理費というのは一般管理費等の構成要素です。
一般管理費の内訳は以下のとおりです。
一般管理費
項目 | 内容 |
---|---|
役員報酬等 | 取締役及び監査役に要する役員報酬及び賞与(損金参入分) |
従業員給料手当 | 本店及び支店の従業員に対する給与、諸手当及び賞与(賞与引当金 繰入額を含む。) |
退職金 | 本店及び支店の役員及び従業員に対する退職金(退職給与引当金繰 入額及び退職年金掛金を含む) |
法定福利費 | 本店及び支店の従業員に関する労災保険料、雇用保険料、健康保険料及び厚生年金保険料の事業主負担額 |
福利厚生費 | 本店及び支店の従業員に対する慰安、娯楽、貸与被服、医療、慶弔 見舞等の福利厚生等に要する費用 |
維持修繕費 | 建物、機械、装置等の修繕維持費、倉庫物品の管理費等 |
事務用品費 | 事務用消耗品費、固定資産に計上しない事務用備品、 新聞参考図書 等の購入費 |
通信費 | 通信費、旅費及び交通費 |
動力用水光熱費 | 電力、水道、ガス等の費用 |
調査研究費 | 技術研究、開発等の費用 |
広告宣伝費 | 広告、公告又は宣伝に要する費用 |
交際費 | 得意先、来客等の接待、慶弔見舞等に要する費用 |
寄付金 | 社会福祉団体等に対する寄付 |
地代家賃 | 事務所、寮、社宅等の借地借家料 |
減価償却費 | 建物、車両、機械装置、事務用備品等の減価償却額 |
試験研究償却費 | 新製品又は新技術の研究のための特別に支出した費用の償却額 |
開発償却費 | 技術又は新経営組織の採用、資源の開発並びに市場の開拓のため特別に支出した費用の償却額 |
それぞれ主要な項目について詳しく解説します。
一般管理費の代表的な項目は以下のとおりです。
役員報酬
役員報酬とは取締役など会社の役員に対して支払われる費用です。
従業員給料手当、退職金
従業員の給料手当は労働に対する対価で、 退職金は過去の勤務の対価として退職時に支払われる費用です。 従業員の給料と退職金は一般管理費に含まれます。
法定福利費
社会保険料の支払いに対して会社が負担する費用となります。
主な社会保険として、健康保険料、厚生年金保険だけでなく、労災保険なども含まれます。
従業員の給料に対して、おおよそ15%程度が会社の負担額です。
さらに付加利益として、以下の項目を見込みます。
・法人税、都道府県民税、市町村民全等
・株主配当金
・役員賞与
・内部保留金
・支払い利息及び割引料、 社内打合せ等の費用、 学会及び協会活動等諸団体会費などの費用
このような費用も、公共工事では一般管理費として積算します。
とはいえ、積算上の注意点があるので紹介しますね。
一般管理費の注意点
資材などを発注者が支給するときは、その支給品の費用は一般管理費等の算定となる工事原価には含めません
次に一般管理費をどのように計算するのか解説します。
一般管理費は工事価格に一般管理費等率をかけることで算出します。
式は以下のとおりです。
一般管理費等=工事原価 × 一般管理費率(Gp)
直接工事費と間接工事費を足した工事原価に対して、一般管理等率をかけることで算出します。
一般管理費率
前払い金の支出割合が35%を超え40%以下の場合
工事原価 | 500万円 | 500万円を超え30億円未満 | 30億円を超えるもの |
---|---|---|---|
一般管理費等 | 23.57% | 以下の式を参照 | 9.74% |
500万円を超え 30億円以下の場合
<算定式>
Gp=-4.97802×Log(Cp)+56.92101(%)
Gp:一般管理費率
Cp:工事原価
※Gpの値は、小数第3位を四捨五入し、第2位までとする。
前払い金が35%以下の場合
0%から5%以下 | 5%から15%以下 | 15%から25%以下 | 25%から35%以下 | |
---|---|---|---|---|
補正係数 | 1.05 | 1.04% | 1.03% | 1.01 |
一般管理費率等の計算例
工事原価が5,000万円の場合、Cp=50,000,000 を代入します。
Gp=4.97802xLog (50,000,000)+56.92101
= 18.595
と計算でき、一般管理費等率は 18.595%ということになります。
なお、一般管理費等率は最新の本社経費の実態を反映し、令和4年度に改定されています
国土交通省では、「共通仮設費」「現場管理費」に関して諸経費動向調査を行っています。
調査結果を踏まえて、国土交通所の土木工事に適用する一般管理費等率を令和4年4月に改定しました。
建設業者の利益確保を目的として、一般管理費等率の上限と下限がそれぞれ引き上げられました。
・一般管理費は、直接工事費とは関係ない企業を運営していくために必要な費用
・一般管理費は22項目に分類される
・一般管理費等率は9.74〜23.57%(令和4年4月より)
以上、公共工事における一般管理費について解説しました。
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