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かぶり不足を検査で指摘されてしまいました…
かぶりを確保して再検査ですね。
組み立てるときによく見ておかなかったのが失敗でした。
かぶりは鉄筋コンクリート構造物にとって大事要素なので、しっかりと確保しましょう。
・鉄筋のかぶりって何?
・鉄筋のかぶり不足するとどうなるの?
・鉄筋のかぶり不足にならないためにはどうすればいいの?
こんな疑問を解決します。
・鉄筋のかぶりについて解説
・鉄筋のかぶりが不足すると陥る事態
・鉄筋のかぶりを確保するのに必要なこと
この記事では、 土木工事における鉄筋工事の「かぶり」 について、解説しています。
これを読み終えれば、かぶりとは何かから、かぶりを確保する理由やかぶりを適切に確保する方法が理解できるので、 “配筋検査でかぶり不足を指摘されて鉄筋をばらして再施工・・・なんて最悪の未来を避けることができます。
執筆者
当サイトの運営者ぜねたの詳しいプロフィールは、コチラです。
また、鉄筋の継手については[3分で分かる鉄筋の継手!一級土木施工管理技士が徹底解説!]で詳しく解説しています。
かぶりについて改めて知りたいです。
コンクリート表面から、 鉄筋までの最短距離を 「かぶり」 といいます。
鉄筋のかぶりとは、コンクリートの表面から鉄筋までの 「最短距離」のことです。
鉄筋のかぶり厚は、鉄筋コンクリート構造物の耐久性に大きく影響する部分になります。
コンクリート構造物の鉄筋組立完了後に「かぶり」 は検査対象になっています。
かぶり厚が不足していると問題になるので、確実に確保しましょう。
「かぶり」 と一言でいいますが、 「純かぶり」と「芯かぶり」 の2種類あるので、 間違えないように気をつけましょう。
純かぶり
コチラは、一般的に 「かぶり」 と言われるものです。 コンクリートの表面から鉄筋表面までの最短距離になります。
通常、鉄筋のかぶりというと純かぶりのことをいいます。
芯かぶり
鉄筋の中心から コンクリート表面までの距離のことをいいます。
今まで見た図面だと、橋脚の主筋などはこの芯かぶりの値が図示されています。
一般的にかぶりというと、”純かぶり”のことを言うので、間違えないように気をつけましょう。
コンクリートは経年劣化に対して十分な耐久性を保持するだけでなく、中性化、塩害、凍結融解、科学的浸食に対する抵抗性を有する必要がある構造物です。
特に鉄筋コンクリート構造物では鉄筋の腐食等に伴う損傷により、所要の耐久力が損なわれることがないように検討する必要があります。
その中でも、耐久性に大きく影響与える要因となるものが 「かぶり」です。
適切な「鉄筋のかぶり」を確保することで、コンクリート内部にある鉄筋を保護することができます。
そのため、かぶりが薄いと劣化因子が鉄筋に到達する時間が短くなり、想定している耐用年数までコンクリート構造物が使用できない。
といった事態になってしまう恐れもあります。
次の章で詳しく解説しますが、鉄筋コンクリートの部材は曲げモーメントに抵抗するため、鉄筋は断面のできるだけ外側に配置します。
その中で、 耐久性の観点から最小のかぶり厚の規定が決まっています。
実際、鉄筋の 「かぶり」 は、 様々な仕様書や示方書で最小かぶりが定められています。
土木学会が発行するコンクリート標準示方書では、以下のように定められています。
かぶりは、コンクリート構造物の性能照査の前提である付着強度を確保するとともに、要求される耐火性、耐久性、構造物の重要度を考慮して定められなければならない。 ただし、かぶりは鉄筋の直径に施工誤差を加えた値よりも小さい値としてはならない。
コンクリート標準示方書設計編(P99)
最低限の値として、鉄筋の直径D以上のかぶり厚みの確保は必要不可欠です。
※鉄筋の設計かぶり厚さ(日本建築学会「鉄筋コンクリート造配筋指針」による)
また、建築学会では以下のように定められています。
鉄筋のかぶりは、鉄筋の直径以上で次の値以上とする。(施工管理基準:±Φかつ最小かぶり以上)
※『鉄筋用スペーサ、かぶりに関する技術的基準(抜粋)』
かぶりってわかっていたつもりでしたが、奥が深いんですね。
かぶりの確保はコンクリート構造物では必須です。
鉄筋のかぶりは、鉄筋コンクリート構造物の寿命を大きく左右します。
「かぶりを確保するのは当たり前」という認識かもしれませんが、大事な要素なので今一度確認しましょう。
鉄筋のかぶりが不足すると、 中性化が進行しやすくなるなど劣化因子が侵入しやすくなり鉄筋の腐食に繋がります。
鉄筋が腐食することで、体積が膨張してコンクリートのひび割れが進行し、さらに劣化因子が侵入しやすくなるという、負のループが発生。
また、耐火性能の低下にもつながり、どれもコンクリート構造物の寿命を縮めることに繋がってしまいます。
ちなみに、かぶりは不足していなければいいのかと言うと、必ずしもそういうわけではありません。
かぶりの過多も構造物の耐力低下に繋がります。
※設計のかぶり厚についての考え方
実際、設計かぶり厚には、施工誤差も含まれています
これは建築も土木も同じです
なぜ、かぶりの過多が体力の低下に繋がるのか梁の鉄筋を例として簡単に解説します。
下の図のような断面を持つ梁の鉄筋があったとします。
スパン中央と仮定すると、 曲げモーメントは下側の主筋で指示します。
そのため、鉄筋の曲げ耐力は以下の通りです。
M = a× ft × j
a:下主筋の断面積の合計、 ft:鉄筋の許容曲げ応力度 、j: 応力中心間距離
の積により表されます。
耐力が大きくするためには、右辺が大きくなるということです。
右辺は3つの項の掛け算なので、 それぞれが大きくなると耐力が大きくなると言えます。
つまり、下主筋の断面積の合計が大きいほど、 鉄筋の許容曲げ応力が大きくなるほど、
また、 応力中心間の距離が大きくなるほど、右辺の値が大きくなります。
応力中心間距離とは、「梁の最外端から作用鉄筋の中心までの距離×7/8」 のことです。
そのため、鉄筋のかぶりの厚みが多くなると、この応力中心間距離が短くなってしまうので、かぶりが大きすぎても設計の値より耐力が低下してしまいます。
なので、最大のかぶり厚みも規定があるので要注意です
とはいえ、耐力が低下するよりかぶりが不足する方が圧倒的に危険な状態です。
実際は「かぶり過多」 より 「かぶり不足」 の方が圧倒的に多いです。
なお、鉄筋の適切な配置については[鉄筋のピッチ(間隔)、あきとは!?徹底解説!]で詳しく解説しています。
かぶりはちゃんと確保するって思っていても管理するのはなかなか大変ですね。
正しい手順と施工方法でかぶりをしっかりと確保しましょう。
鉄筋の被りの重要性の次は、 実際にどうやってかぶりを確保するのか、実体験に基づいて解説します。
かぶりの確保には、 スペーサーが必要不可欠です。
鉄筋を組み立てる前に、 型枠からの距離をしっかりと確認します。
スペーサーの設置にあたって大切なのが、以下の2点です。
①スペーサーの大きさ
②間隔の確認
いくらスペーサーを用いていても、サイズが間違っていてはかぶりを確保することができません。
また、適切な間隔で配置することにより、鉄筋のたわみがないように等間隔で配置します。
スペーサーの数が少ないと打設時や人が作業した際に動いてしまう可能性あり
スペーサーの間隔
梁 スラブ、 床で1㎡あたり4個以上
ウェブ、 柱の側面で1㎡あたり2個以上
特に底面については、 あとから修正するのが困難なため、スペーサーの確認が必要不可欠です。
検査前にはかぶり部分に結束線のヒゲが残っていないのか、しっかりと確認しましょう。
配筋検査の際には必ずチェックされる項目です。
私の実体験に基づくアドバイス
ここで、私が現場監督だったころにした失敗談から学んだことを共有させていただきます。
なお、鉄筋のかぶりが不足していることが検査で発覚すると、悲惨です。
レバーブロックを用いて鉄筋を引っ張って、スペーサを入れるなど様々な作業が発生します。
最悪の場合、鉄筋をばらして再度組み立てる。という事態になってしまいます。
さらに、注文するスペーサーの大きさには、注意が必要です。
かぶりの大きさより大きなスペーサーを入れなくては、かぶり不足になってしまいます。
例
設計値: 42.5mm
注文するスペーサー:45mm
設計値の値を切り上げて大きめのスペーサーを注文しましょう。
なお、鉄筋のスペーサについては[鉄筋のスペーサーとは!?現場監督7年の元ゼネコンマンが詳しく解説!]で詳しく解説してます。
ここで、あらためて鉄筋について簡単に解説します。
鉄筋は JISで定められており、正式には「鉄筋コンクリート用棒鋼」という名称です。
『鉄筋コンクリート用棒鋼』JIS G 3112
・丸鋼
・異形棒鋼
丸鋼は表面に突起がないつるつるの鉄筋です。
降伏点の違いにより SR235 と SR295の2種類があります。
丸鋼土木構造物ではあまり使用しません。
異形棒鋼は、表面に「リブ」と呼ばれる突起が付いた鉄筋です。
コンクリート構造物で主にコンクリートの補強材として一般的に使います。
降伏点の違いにより、 SD295A、 SD295B、SD345、 SD390、SD490の5種類に分類されます。
鉄筋というと、主に異形棒鋼のことを言います。
さらに詳しい鉄筋についての解説は、[鉄筋の種類とは!?丸鋼と異形棒鋼について解説]で詳しく記述しています。
✅鉄筋の種類やその特徴について解説しています。
鉄筋コンクリート構造物における鉄筋の役割についても解説しているので、鉄筋についての基本を復習したい方にはおすすめです。
鉄筋工事におけるかぶりについて解説しました。
・鉄筋のかぶりはコンクリート表面から鉄筋までの“最短距離”のこと
・鉄筋のかぶりが不足するとコンクリート構造物の寿命が短くなる
・鉄筋のかぶりを確保するのに、適切な大きさで適切な数量のスペーサーを使用する
鉄筋コンクリート構造物における 「かぶり」 とは何かから、かぶりを確保する理由やかぶりを適切に確保する方法が理解できたと思います。
以上、鉄筋のかぶりについて、 1級土木施工管理技士の徹底解説でした。
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