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乳剤散布量試験ってどのようにやるの?
乳剤散布量試験の計算方法がわからない・・・
この記事ではこんな悩みを解決します。
・乳剤散布量の試験方法
・乳剤散布量試験の計算方法
これを読み終えれば、乳剤散布量試験の準備ができて実際に試験ができるだけじゃなく、報告書まで作れるようになります。
執筆者
『つちとき』管理人|元準大手ゼネコン勤務|土木の現場監督7年|1級土木施工管理技士|書籍『仕組み図解 土木工事が一番わかる』著者
『つちとき』管理人|元準大手ゼネコン勤務|土木の現場監督7年|1級土木施工管理技士|【経験工種類】道路土工事、トンネル、PC上工、橋梁下部工|書籍『仕組み図解 土木工事が一番わかる』出版
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乳剤散布量試験ってどんな試験ですか?
試験用のマットを用いて乳剤の散布量を測定する試験です
乳剤散布量の試験とは、散布した乳剤が設計数量を超えているのか測定する試験です。
しかしながら、乳剤散布量の試験方法は 、『舗装施工便覧』や 『舗装試験法便覧』 等の基準類に記載されていません。
ですが、現場では設計数量を満たしているのか確認する必要があり、道路の舗装工事では品質管理を行う上では必須の試験です。
一般的には、試験用のマットを用いて、”試験前後のマットの重さ”から乳剤の体積(ℓ)を算出して、設計数量を超えているのか測定します。
乳剤散布量の試験方法について、 一般的に行う方法を詳しく解説していきます。
マットを用いて行う一般的な乳剤散布量の試験方法は、以下のとおりです。
①試験用のマットを置く
②ディストリビューターで乳剤を散布する
③マットの質量を測定する
詳しく解説します。
ウレタン製のマットを3つ設置します。
設置前にマットの重量を計測しておくこと
試験前後のマットの重さから、散布量を算出するので、散布前にマットの重さを計測しておく必要があります。
マットの設置を確認し、 アスファルト乳剤を散布します
このとき散布前にマットが飛散しないように気をつけましょう
ビニール袋にマットを入れ、乳剤が付着しないように気を付けながら、乳剤散布後のマットの質量を測定します
といった流れで試験を行います。
次に、どのように乳剤の散布量を計算するのか詳しく解説します。
測定した結果のまとめ方と乳剤散布量の計算方法を解説します。
計算方法
①試験前後に計測したマットの重量から、 乳剤の重量を求めます。
②①で算出した乳剤の重量に対して、”密度”で割ることで、体積 (ℓ) を算出します。
③最後に体積 (ℓ) を、”マットの面積”で割ることで、1㎡あたりの散布量(ℓ) を計算できます。
計算の方法を、具体的な数字を使って解説していきます。
① マットの重量
35g
② 散布後の重量
170g
③ 散布重量 (②-①)
170g -35g=135g
④乳剤の密度※
1.0 g/cm²
⑤ 乳剤の散布量 (③/(④×1000))
135÷(1.0×1000)=0.135
⑥ マット面積
縦30cm×横30cm=900c㎡
⑦1m²あたりの散布量(⑤/⑥)
0.135÷900c㎡
= 0.135÷0.09㎡
= 1.5ℓ/㎡
1.50 > 1.26 ℓ/㎡
となり、この例では設計値を満たしています。
なお、実際の試験はマット3枚の平均値で行います。
ちなみに、ここでは 乳剤の密度は1.0g/c㎡としましたが、 1.01 や 0.99 とする場合もあります。
乳剤の比重について詳しく解説します。
乳剤の密度については、特に規格がありません。
アスファルト乳剤は石油アスファルトと界面活性剤を含む乳化液から構成されており、どちらの成分の密度は 1.0g/cm程度です。
アスファルト乳剤=石油アスファルト+界面活性剤を含む乳化液
一般社団法人日本アスファルト乳剤協会では、市販されている代表的な4種類の乳剤で密度試験を行い、以下のような結果となりました。
PK-3 の密度 =-0.00020x+1.0177
X: 温度
式に当てはめてみると40℃の時、密度は1.009 となり20℃の時に 1.015となります。
密度は1.0g/c㎡程度と認識してもらえば間違いはありません
試験の概要や計算方法が理解できました
乳剤の散布量や散布方法について解説します
JIS で規定されたアスファルト乳剤は8種類。
浸透用や混合用など乳剤の用途により種類が分けられます。
日本で一般的に散布されるアスファルト乳剤はカチオン乳剤で、 PK-3 や PK-4 と呼ばれるものを使用します。
PK-3はプライムコートやセメント安定処理層の養生用で、 PK-4はタックコート用です
日本道路協会による石油アスファルト乳剤の品質規格は以下のとおりです。
カチオン乳剤 | ノニオン乳剤 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
PK-1 | PK-2 | PK-3 | PK-4 | MK-1 | Mk-2 | MK-3 | MN-1 | ||
エングラー度 | 3〜15 | 1〜6 | 3〜40 | 2〜30 | |||||
ふるい残留分(1.18mm)[%] | 0.3%以下 | ||||||||
付着度 | 2/3以上 | – | |||||||
粗粒度骨材混合性 | – | 均等であること | – | ||||||
密粒度骨材混合性 | – | 均等であること | – | ||||||
土混じり骨材混合性[%] | – | 5以下 | – | ||||||
セメント混合性[%] | 1.0以下 | ||||||||
粒子の電荷 | 陽(+) | – | |||||||
蒸発残留分[%] | 60以上 | 50以上 | 57以上 | 57以上 | |||||
蒸発残留物[%] | 針入度(25℃)[1/10mm] | 100 を超え 200 以下 | 100 を超え 200 以下 | 100 を超え200 以下 | 100 を超え 200 以下 | 100 を超え 200 以下 | 100 を超え 200 以下 | 100 を超え 200 以下 | 100 を超え 200 以下 |
トルエン可溶分[%] | 98以上 | 97以上 | 97以上 | ||||||
貯蔵安定度(24時間) | 1以下 | ||||||||
凍結安定度(-5℃) | – | 素粒子、 塊のないこと | – | ||||||
おもな用途 | 温暖期浸透用 および 表面処理用 | 寒冷期浸透用 および 表面処理用 | プライムコート用 および セメント安定処理層養生 | タックコート用 | 粗粒度骨材 混合用 | 密粒度骨材 混合用 | 土混じり骨材 混合用 | セメント・アスファルト 乳剤安定処理用 |
一般的にアスファルトの舗装で行われるプライムコートやタックコートについて解説します。
アスファルト乳剤散布の施工は、 プライムコートとタックコートと呼ばれます。
ブライムコート
路盤の完了後施工を行う
アスファルト乳剤 (PK-3) を用いる
散布量は1~2ℓ/m² (一般的には1.26ℓ/m²)
タックコート
瀝青安定処理層及び中間層、基層の完了後施工を行う
アスファルト乳剤 (PK-4) を用いる
散布量は 0.3~0.6ℓ/㎡² (一般的には 0.64ℓ/㎡²)
といった内容です。
なお、さらにプライムコートとタックコートについて詳しい解説については [プライムコートとタックコートの違いとは?]で詳しく解説しています。
✅プライムコートやタックコートの違いや特徴を解説
86,144人が読んだ(2023年8月現在)人気の記事です
関連記事 プライムコートとタックコートの違いとは?
アスファルト乳剤は均一になるように散布をおこないます。
実施に乳剤を散布する方法は以下の通りです。
・ディストリビュータ
・スプレイヤー
それぞれ詳しく解説します。
ディストリビュータ
アスファルト乳剤を散布するトラック
アスファルト乳剤をいれる保温タンクが後部に設置されている
後部のスプレーバから路面に均一にアスファルト乳剤を散布する
散布量は走行速度によって調整
ディストリビューターという車に乗って散布する方法です。
わかりやすい動画かあったので、ご紹介させていただきます。実際に散布している様子が分かる7秒の動画なので、サクッとみてみてください。
次に、人力で散布する方法です。
スプレイヤー
人力で乳剤を散布する機械
エンジンスプレーヤとハンドスプレーヤの2種類
人力で散布するため均一性の点ではディストリビュータに劣る
取扱いの便利さ、使用能力の広さなどがメリットです
こちらもわかりやすい動画があったので紹介させていただきます。
動画の冒頭で紹介されているのが、スプレイヤーで、人力により乳剤を散布するときに使う機器です。
また、品質の高い施工のために、街渠の側面やL型側溝の側面にも乳剤の散布を行います。
側面にもアスファルト乳剤を散布することで付着が良くなり、耐久性の高いアスファルト舗装が構築されます。
側面にも塗る際には、証拠となる工事写真をしっかりと取りましょう
乳剤散布量の試験のやり方や、計算方法などについて解説しました。
・乳剤散布量試験について明確な記載は書籍にない
・試験用のマットを用いて散布前後の重さを測り、 散布量を算出する
・プライムコートは1~2ℓ/㎡、 タックコートは0.3~0.6ℓ / ㎡以上散布する
・ディストリビュータ、スプレイヤーの2種類でなるだけ均一に散布する
以上、乳剤散布量の試験について解説しました。
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コメント一覧 (2件)
乳剤の比重ですが、温度によって変化しますが、タンク内温度を使うのか?重量測定したときの気温を使って散布量計算するのかどちらが正しいのでしょう?
ご質問ありがとうございます。
乳剤散布量の計測にあたって、使用する比重は1.0g/cm3として計算すれば差し支えないと存じます。
理由としては、 温度による差が非常に小さいからです。
確かにご披歴のとおり、密度は温度によって変わりますが、値が小さいため結果にそれほど影響を与えません。
なので、使用する比重は1.0g/cm3で計算していいと思います。
根拠となる資料は、日本アスファルト乳剤協会が記載しているコチラの記事です。
「舗装の現場において乳剤散布量の検証を行う場合も、 散布量を質量で管理し、後述する乳剤の温度と密度の関係式を用いて、容積に換算されます。
容積は質量を密度で割ることで求められますから、 ある工事において使用された乳剤の質量を乳剤の密度で割れば容積が換算でき、単位面積あたりの散布量が求められます。
しかしながら、日本のアスファルト乳剤の規格には密度の規定はありません。 アスファルト乳剤は石油アスファルトと界面活性剤を含む乳化液から構成されており、 どちらの成分の密度も 1.0g/cm3程度です。 したがって、アスファルト乳剤もこの密度を使用して、特に差し障りはないと考えます。」