乳剤散布量試験ってどのようにやるの?
乳剤散布量試験の計算方法がわからない・・・
この記事ではこんな悩みを解決します。
・乳剤散布量の試験方法
・乳剤散布量試験の計算方法
これを読み終えれば、乳剤散布量試験の準備ができて実際に試験ができるだけじゃなく、報告書まで作れるようになります。
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乳剤散布量の試験方法とは?
乳剤散布量試験ってどんな試験ですか?
試験用のマットを用いて乳剤の散布量を測定する試験です
乳剤散布量の試験とは、散布した乳剤が設計数量を超えているのか測定する試験です。
乳剤散布量の試験方法は 『舗装施工便覧』や 「舗装試験法便覧』 等の基準類に記載されていません。しかし、現場では設計数量を満たしているのか確認する必要があり、道路の舗装工事では品質管理を行う上では必須の試験です。
一般的には、 試験用のマットを用いて試験前後の重さを測り、乳剤の体積(ℓ)を算出して設計数量を超えているのか測定します。
乳剤散布量の試験方法について、 一般的に行う方法を詳しく解説していきます。
試験の概要
マットを用いて行う一般的な乳剤散布量の試験方法は、以下のとおりです。
試験用のマットを置く
ディストリビューターで散布する
マットの質量を測定する
詳しく解説します。
事前にマットの重量を測定しておくことで、散布後のマット重量と比べて散布量を算出することができます。
マットの設置を確認し、 アスファルト乳剤を散布します
このとき散布前にマットが飛散しないように気をつけましょう
ビニール袋にマットを入れ付着しないように気を付けてから、マットの質量を測定します
といった順番で試験を行います。
次に、どのように乳剤の散布量を計算するのか詳しく解説します。
乳剤散布量の計算方法
測定した結果のまとめ方と乳剤散布量の計算方法を解説します。
計算の順番
マットの重量から、 乳剤の重量を求めます。
乳剤の重量を密度で割ることで、体積 (ℓ) を算出します。
最後に体積をマットの面積で割ることで、1㎡あたりの散布量(ℓ) を計算できます。
具体的な計算の方法を具体的な数字を使って解説していきます。
① マットの重量
35g
② 散布後の重量
170g
③ 散布重量 (②-①)
135g
④乳剤の密度※
1.0g/cm²
⑤ 乳剤の散布量 (③/(④×1000))
135 ÷ (1.0×1000)=0.135
⑥ マット面積
縦30cm×横30cm=900c㎡²
⑦1m²あたりの散布量(⑤/⑥)
0.135÷900c㎡²
= 0.135÷0.09㎡²
= 1.5ℓ/㎡²
1.50 > 1.26 ℓ/㎡²
となり、この例では設計値を満たしています。
ちなみに、ここでは 乳剤の密度は1.0g/c㎡としましたが、 1.01 や 0.99 とする場合もあります。
乳剤の比重について詳しく解説します。
H3 乳剤の密度について
乳剤の密度については、特に規格がありません。
アスファルト乳剤は石油アスファルトと界面活性剤を含む乳化液から構成されており、どちらの成分の密度は 1.0g/cm程度です。
一般社団法人日本アスファルト乳剤協会では、市販されている代表的な4種類の乳剤で密度試験を行い以下のような結果となりました。
PK-3 の密度 =-0.00020x+1.0177
X: 温度
式に当てはめてみると40℃の時、密度は1.009 となり20℃の時に 1.015となります。
密度は1.0g/c㎡程度と認識してもらえばいいかなと思います
アスファルト乳剤の散布量や散布方法
乳剤の散布量や散布方法について解説します
JIS で規定されたアスファルト乳剤は8種類。浸透用や混合用など乳剤の用途により種類が分けられます。
日本で一般的に散布されるアスファルト乳剤はカチオン乳剤で、 PK-3 や PK-4 と呼ばれるものを使用します。
PK-3はプライムコートやセメント安定処理層の養生用で、 PK-4はタックコート用です
一般的にアスファルトの舗装で行われるプライムコートやタックコートについて解説します。
プライムコートとタックコート
アスファルト乳剤散布の施工は、 プライムコートとタックコートと呼ばれます。
ブライムコート
路盤の完了後施工を行う
アスファルト乳剤 (PK-3) を用いる
散布量は1~2ℓ/m² (一般的には1.26ℓ/m²)
タックコート
瀝青安定処理層及び中間層、基層の完了後施工を行う
アスファルト乳剤 (PK-4) を用いる
散布量は 0.3~0.6ℓ/㎡² (一般的には 0.64ℓ/㎡²)
といった内容です。
なお、さらにプライムコートとタックコートについて詳しい解説については [プライムコートとタックコートの違いとは?]で詳しく解説しています。
乳剤の散布方法
アスファルト乳剤は均一になるように散布をおこないます。
実施に乳剤を散布する方法は以下の通りです。
・ディストリビュータ
・スプレイヤー
それぞれ詳しく解説します。
ディストリビュータ
アスファルト乳剤を散布するトラック
アスファルト乳剤をいれる保温タンクが後部に設置されている
後部のスプレーバから路面に均一にアスファルト乳剤を散布する
散布量は走行速度によって調整
ディストリビューターという車に乗って散布する方法です。
わかりやすい動画かあったので、ご紹介させていただきます。実際に散布している様子が分かる7秒のづ画なのでサクッとみてみてください。
次に、人力で散布する方法です。
スプレイヤー
人力で乳剤を散布する機械
エンジンスプレーヤとハンドスプレーヤの2種類
人力で散布するため均一性の点ではディストリビュータに劣る
取扱いの便利さ、使用能力の広さなどがメリットです
こちらもわかりやすい動画があったので紹介させていただきます。
動画の冒頭で紹介されているのが、スプレイヤーで人力で散布するときに使う機器です。
また、品質の高い施工のために街渠の側面やL型側溝の側面にも乳剤の散布を行います。
側面にもアスファルト乳剤を散布することで付着が良くなり耐久性の高いアスファルト舗装を実現できます。
側面にも塗ったなら証拠となる写真をしっかりと取りましょう
乳剤散布量の試験【まとめ】
乳剤散布量の試験のやり方や、計算方法などについて解説しました。
・乳剤散布量試験について明確な記載は書籍にない
・試験用のマットを用いて散布前後の重さを測り、 散布量を算出する
・プライムコートは1~2ℓ/㎡、 タックコートは0.3~0.6ℓ / ㎡以上散布する
・ディストリビュータ、スプレイヤーの2種類でなるだけ均一に散布する
以上、乳剤散布量の試験について解説しました。
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