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プライムコートとタックコートの違いって何?
PK-3とPK-4って何が違うの?
本記事では、こんな疑問を解決します。
プライムコートの概要や施工上の注意点について
タックコートの概要や施工上の注意点について
道路の舗装工事で必ずおこなう"プライムコート"や"タックコート"の作業ですが、「どのような違いがありますか?」と聞かれても、説明するとなると難しいですよね。
また、「PK-3とP K-4って何が違うの?」と聞かれて、答えに詰まってしまう人もいるのではないでしょうか?
そこで、本記事ではプライムコートとタックコートの違い加えて、乳剤の品質規格や、施工方法を動画付きで解説します。
ぜひ最後まで読んで、技術者として1段階レベルアップしてください。
『つちとき』管理人|元準大手ゼネコン勤務|土木の現場監督7年|1級土木施工管理技士|書籍『仕組み図解 土木工事が一番わかる』著者
『つちとき』管理人|元準大手ゼネコン勤務|土木の現場監督7年|1級土木施工管理技士|【経験工種類】道路土工事、トンネル、PC上工、橋梁下部工|書籍『仕組み図解 土木工事が一番わかる』出版
当サイトの運営者ぜねたについては、コチラで解説しています。
1級土木施工管理技士の元ゼネコンマンが、アスファルト舗装で使用するプライムコートとタックコートについて理解できます。
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ちなみに、道路工事とは切っても切れない関係にあるCBRについて、[CBRとは!?現場CBRと設計CBRと修正CBRの違いを1級土木施工管理技士が徹底解説]で詳しく解説しています。
✅CBRとは何かや、CBR試験について詳しく解説しています。
設計CBRや修正CBRについても詳しく解説しているので、「CBRについて人に説明できる自信がない・・・」って方は数分で読めるので確認してみることをオススメします。
※139,453人が見た人気の記事です(2023年7月現在)
関連記事 CBRとは!?現場CBRと設計CBRと修正CBRの違いを1級土木施工管理技士が徹底解説
プライムコートとタックコートを一覧にしてまとめました。
プライムコート | タックコート | |
---|---|---|
使用材料 | PK-3 | PK-4 |
散布量 | 1.0〜2.0ℓ/㎡ | 0.3〜0.6ℓ/㎡ |
施工箇所 | 路盤(安定処理を除く以外)施工後に乳剤を散布する | アスファルトや瀝青安定処理路盤、中間層、基層、構造物との接着箇所 |
施工方法 | ・機械施工 ・人力施工 | ・機械施工 ・人力施工 |
施工時期 | 路盤の構築後、速やかに | 特に記載なし |
施工の目的 | ・降雨による路盤の洗掘、表面水の浸透を防止 ・路盤から水分の毛細血管を遮断 ・路盤とその上に施工するアスファルト混合物とのなじみをよくする | 敷設する混合物とその下層との付着、および継ぎ目部の付着を良くする |
プライムコートとタックコートは施工箇所によって、使用する材料や散布量が異なるので、事前にしっかりと確認しましょう。
プライムコートとタックコートで使用するアスファルト乳剤は、乳剤の用途により種類分けされます。
種類 | 記号 | 用途 | ||
---|---|---|---|---|
カチオン系 | 浸透用 | 1号 | PK-1 | 温暖期浸透用及び表面処理用 |
2号 | PK-2 | 寒冷期浸透用及び表面処理用 | ||
3号 | PK-3 | プライムコート及び セメント安定処理層養生用 | ||
4号 | PK-4 | タックコート用 | ||
混合用 | 1号 | MK-1 | 粗粒度骨材混合用 | |
2号 | MK-2 | 密粒度骨材混合用 | ||
3号 | MK-3 | 土被り骨材混合用 | ||
ノニオン系 | 混合用 | 1号 | MN-1 | セメント・アスファルト乳剤 安定処理混合用 |
アスファルト乳剤は、ストレートアスファルトと、水と乳化剤により構成されます。
・カチオン系乳剤
・アニオン系乳剤
・ノニオン系乳剤
現在ほとんどの道路工事で使用されているのがカチオン系乳剤です。
先ほどの表から分かるように、PK-3、PK-4で使用される乳剤はカチオン系乳剤になります。
特徴としては、使用後に速やかに分解して、骨材の表面にアスファルトの膜を形成するため、水分が蒸発しなくても分解・硬化します。
日本道路協会による石油アスファルト乳剤の品質規格は以下のとおりです。
カチオン乳剤 | ノニオン乳剤 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
PK-1 | PK-2 | PK-3 | PK-4 | MK-1 | Mk-2 | MK-3 | MN-1 | ||
エングラー度 | 3〜15 | 1〜6 | 3〜40 | 2〜30 | |||||
ふるい残留分(1.18mm)[%] | 0.3%以下 | ||||||||
付着度 | 2/3以上 | – | |||||||
粗粒度骨材混合性 | – | 均等であること | – | ||||||
密粒度骨材混合性 | – | 均等であること | – | ||||||
土混じり骨材混合性[%] | – | 5以下 | – | ||||||
セメント混合性[%] | 1.0以下 | ||||||||
粒子の電荷 | 陽(+) | – | |||||||
蒸発残留分[%] | 60以上 | 50以上 | 57以上 | 57以上 | |||||
蒸発残留物[%] | 針入度(25℃)[1/10mm] | 100 を超え 200 以下 | 100 を超え 200 以下 | 100 を超え200 以下 | 100 を超え 200 以下 | 100 を超え 200 以下 | 100 を超え 200 以下 | 100 を超え 200 以下 | 100 を超え 200 以下 |
トルエン可溶分[%] | 98以上 | 97以上 | 97以上 | ||||||
貯蔵安定度(24時間) | 1以下 | ||||||||
凍結安定度(-5℃) | – | 素粒子、 塊のないこと | – | ||||||
おもな用途 | 温暖期浸透用 および 表面処理用 | 寒冷期浸透用 および 表面処理用 | プライムコート用 および セメント安定処理層養生 | タックコート用 | 粗粒度骨材 混合用 | 密粒度骨材 混合用 | 土混じり骨材 混合用 | セメント・アスファルト 乳剤安定処理用 |
プライムコートとタックコートの施工は、機械施工と人力施工の2種類です。
散布方法
・機械施工
・人力施工
機械を使って散布する方法は、ディストリビュータと呼ばれる機械を用いて施工します。
コチラの動画が実際にディストリビュータで乳剤を散布している様子です。
車両の後部に取り付けたスプレーヤーという設備で散布を行うことで、きれいに均一に散布できるのが機械散布のメリットです。
次に、人力で散布する方法を紹介します。
基本的に人力での施工は機械に比べて効率が悪いです。
そのため、人力で施工する場所というのは、機械で散布できない場所に限ります。
L形側溝の側面など散布面積が狭いところは人力で塗っていきます
コチラは実際に人力で乳剤を散布している動画になります。
施工をする上で、管理すべきポイントが散布量です。
プライムコート | タックコート | |
---|---|---|
散布量 | 1.0〜2.0ℓ/㎡ | 0.3〜0.6ℓ/㎡ |
設計図書に記載された散布量を守る必要がありますが、現場で散布した量を計測する方法が、乳剤の散布量試験です。
(試験というほうど、大それたモノではないですが・・・)
現場で散布した乳剤が規定の量を散布しているか確認します。
また、乳剤散布量を測定する方法については、[乳剤散布量の試験について準備や計算方法を解説]で詳しく解説しています。
✅乳剤散布量の試験について解説
試験の方法や準備だけでなく、計算方法について実際の計算例を交えて解説しています。
プライムコートってどんな工法ですか?
路盤やコンクリートの上に施工するコーティングの一種です。
プライムコートは、道路の舗装工事で防水を目的として路盤やコンクリートなどに行うコーティング作業です。
施工の対象は、安定処理以外の路盤に対して適応する工法となります。
具体例
・砕石(RM-40)の上層路盤
プライムコートの施工にあたり、使用する材料はPK-3と呼ばれるカチオン系の乳剤を使用するのが一般的です。
一般的に使用するのはPK-3と呼ばれるカチオン系乳剤
一般的には、1.0〜2.0ℓ/㎡を散布します。
なお、アスファルト舗装工事共通仕様書解説には以下の通り記載されています。
プライムコートに、アスファルト乳剤(PK-3)を用いる場合の散布量は一般に1.2ℓ/m2が標準であり、1~2ℓ/m2の範囲で路盤面が緻密な場合は少なめに、粗な場合は多めに用いられれることがある。
日本道路協会『アスファルト舗装工事共通仕様書解説』丸善出版株式会社(P89)
次に、プライムコートの施工上の注意点について詳しく解説します。
プライムコートは路盤の形成後、速やかに所定量の乳剤を均一に散布し、砂などで養生して施工することが原則。
実際の施工としては、おおよその高さで路盤を完成させ、別日に不陸の整正をおこないプライムコートの施工を行うのが一般的です。
そして、プライムコートの施工後には、乳剤の水分を一散させるため養生期間を設けます。
養生期間中に砂を撒くことで、水分の一散と乳剤のはがれを防止することが出来ます。
プライムコートは、乳剤を撒いたそのままにしておくと走行車両のタイヤや、通行人の靴に乳剤が付着してしまいます。そのため、乳剤の剥がれを防止する目的で砂をまきます。
この作業は舗装施工便覧でも、プライムコートの施工後には砂を撒くことが推奨されている施工方法です。
散布したアスファルト乳剤の施工機械などへの付着およびはがれを防止するため、必要最小限の砂(通常100㎡当たり0.2~0.5c㎥)を散布するとよい
(社)日本道路協会『舗装施工便覧(平成18年版)』丸善出版株式会社(P92)
余剰の砂は付着強度の低下につながるので、取り除いて掃除を行いましょう。
プライムコートを実施することで、以下の効果があります。
路盤とアスファルトの付着を良くするだけじゃなく、降雨による路盤の洗掘を防止する目的もあります。
そのため、路盤の施工後、速やかにプライムコートを行うことで路盤の状態を良好に保つことができるのです。
ちなみに、路盤の施工については[路床と路盤!違いや舗装構造について解説]で詳しく解説しています。
✅路床と路盤の基本を詳しく解説してます
路床や路盤の施工方法や材料だけでなく、品質、出来形の管理規定やについて詳しく解説しています。道路工事に関係する方は、知らないと恥ずかしい情報を詰め込んだので、サクッと学んでみることをオススメします。
関連記事 路床と路盤!違いや舗装構造について解説
タックコートってどんな工法ですか?
瀝青安定処理工法や基層、中間層の上に施工するコーティングの一種です。
タックコートは、道路の舗装工事で防水やアスファルト同士の付着の向上を目的として行うコーティング作業。
一般的に使用するのはPK-4と呼ばれるカチオン系乳剤
一般的には、PK-4と呼ばれるカチオン系乳剤を0.3〜0.6ℓ/㎡散布します。
タックコートに、アスファルト乳剤(PK-4)を用いる場合の散布量は一般に0.4ℓ/m2が標準である。なお。施工面等により0.3~0.6ℓ/m2の範囲で用いられることがある。
(社)日本道路協会『アスファルト舗装工事共通仕様書解説』丸善出版株式会社(P93)
タックコートの施工では、アスファルト乳剤を散布した後、養生期間が必要になります。
(プライムコートも同様に養生期間が必要です)
アスファルト乳剤は、水分が蒸発し乳剤が完全に分解することで効果を発揮します。
水分を蒸発させるための養生期間は、『空港アスファルト舗装の相関付着に関する実験的検討』(国土交通省 国土技術政策総合研究所)という論文によると、PK-4の場合、乳剤内の水分が蒸発するまでは昼間で1時間。夜間の場合は6時間です。
夜間の工事の場合、朝方には交通開放を行わなくてはならない等、制約条件はあると思います。
その場合は、「乳剤の加温を行う」「改質アスファルト乳剤を使用する」などの方法で養生期間を短くすることができます。
寒冷期の施工や急速施工の場合、瀝青材料散布後の養生期間を短縮するために、加温して散布する方法、ロードヒータにより加熱する方法および所定の散布量を2回にわけて散布する方法などを取ることがある
(社)日本道路協会『アスファルト施工便覧』丸善出版株式会社(P129)
施工していると時間などの制約条件はあると思いますが、品質の確保も大切です
舗装工事に使用するプライムコートとタックコートの違いを解説しました。
さらに、プライムコートやタックコートについてだけではなく、舗装や道路とは何かについても解説しました。
プライムコートは、道路の舗装工事で防水を目的として路盤やコンクリートなどに行うコーティング作業
タックコートは、道路の舗装工事で防水やアスファルト同士の付着の向上を目的として行うコーティング作業
以上、プライムコートとタックコートの違いについて解説しました。
なお、1級又は2級土木施工管理技士の受験を予定されている方には、[独学サポート事務局って口コミや評判良くて、実績もすごいけどどうなの?実際に利用した結果 【論文の代行は効果アリ】]で詳しく解説しています。
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