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アジテータ車(トラック)のアジテーターってどういう意味ですか?
アジテータ車ってどんな設備がついているの?
寸法やサイズってどんな大きさがあるの?
本記事ではこんな疑問を解決します。
・生コン車がアジテーター車と呼ばれる理由
・アジテータ車の設備、サイズ、容量
生コンを運搬する車は、一般的に生コン車とかミキサー車と呼ばれています。
ですが、正式名称は「アジテータ車(トラック)」 であり、アジテータ (“agitate”) と は、 攪拌(かくはん)という意味がある言葉です。
実際に、JIS (日本工業規格) では生コン (レディーミクストコンクリート)の運搬車として明記されています。
では、「なぜミキサー車ではなく、アジテータというのか」 気になっている方もいらっしゃると思います。
なので、本記事では「なぜミキサー車ではなくアジテータ (撹拌) なのか」、アジテータ車のサイズや、容量、アジテータ車についている設備など、 アジテーター車に関する情報を詳しく解説 していきます。
建設業界に関わる方は、ぜひ最後まで読んでください。
執筆者
『つちとき』管理人|元準大手ゼネコン勤務|土木の現場監督7年|1級土木施工管理技士|書籍『仕組み図解 土木工事が一番わかる』著者
『つちとき』管理人|元準大手ゼネコン勤務|土木の現場監督7年|1級土木施工管理技士|【経験工種類】道路土工事、トンネル、PC上工、橋梁下部工|書籍『仕組み図解 土木工事が一番わかる』出版
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また、コンクリートの運搬については、[コンクリートの運搬とは?運搬時間やバケットによる打設やポンプ車の選定方法を徹底解説]で詳しく解説しています。
なぜミキサーではなく、アジテータって呼ぶんですか?
生コンを練混ぜる車ではなく、練混ぜた生コンを攪拌(かくはん) する車だからです
生コンを運ぶ車はミキサー車や生コン車と呼ばれますが、正式名称を”トラックアジテータ“と呼びます。
生コン工場で製造された生コンを工事現場まで運ぶ車両で、JIS(日本工業規格)でも明記されています。
運搬車 レディーミクストコンクリートの運搬車は、次による。
JIS A 5308 レディーミクストコンクリート
a) トラックアジテータは,次の性能をもつものを使用する。
”ミキサー車ではなくアジテーター車と呼ぶ理由”ですが、 アジテーター車の役割は生コンを運搬することで、練り混ぜる (MIX) ことではないから。
ミキサー (mixer) とはかき混ぜることで、そもそも練混ぜは生コン工場で行うので、ふさわしくありません。
そのため、実際にアジテーター車のドラムの内部には”らせん状の羽 (ブレード)” が付いており、ドラムが回転することによって、コンクリートが分離しないように攪拌できる構造になっています。
生コンが硬化しないように攪拌しながら運搬することが、 トラックアジテータの役割になります
※「トラックアジテーター」「アジテータトラック」とも呼ばれたりしますが、当記事では一律トラックアジテータと表記します
トラックアジテータって大きな車ですがどんな設備があるんですか?
大きな筒状の設備はドラムと呼ばれ、他にも4つ設備がついています。
トラックアジテータが運搬する生コンは、工業製品でありJIS(日本工業規格)で規格がしっかりと定められています。
レディーミクストコンクリートの運搬車は、次による。
JIS A 5308 レディーミクストコンクリート
a) トラックアジテータは、次の性能をもつものを使用する。
1) トラックアジテータは、練り混ぜたコンクリートを十分均一に保持し、材料の分離を起こさずに、容易に完全に排出できるものでなければならない。
ちょっと難しく書いていますが、生コンの品質を確保するために”それなりの設備”を有した車両であることが求められているということです。
高品質の生コンを現場に運搬するために、トラックアジテータについている設備を解説していきます。
トラックアジテータの大きさは 4t~10前後まで様々でいろいろな大きさの車があります。
現場の状況や規模に応じて、現場の作業スペースが取れない場合は、小回りのきく小さな車を使う場面もありますし、打設数量が多ければ大きな車を使用するというように使い分けをするのが一般的です。
実際に、トラックの大きさと運搬容量の目安は以下の通りです。
アジテータートラックの容量目安
大きさ | 生コンの積載容量(㎥) |
---|---|
3tアジテーター車 | 1.2 |
4tアジテーター車 | 1.6 |
7tアジテーター車 | 3.5 |
10tアジテーター車 | 4.35 |
また、極東開発工業(株)様の車体の資料によると以下のとおりです。
大型(20t車)
項目 | 数値 |
---|---|
ドラム容量 | 8.30〜9.80㎥ |
最大混合容量 | 4.2〜5.0㎥ |
水タンク | 200ℓ |
車両全長 | 7,860〜9,035mm |
車両全幅 | 2,490mm |
車両前高 | 3,680〜3,760mm |
小型(3t車)
項目 | 数値 |
---|---|
ドラム容量 | 2.50㎥ |
最大混合容量 | 1.2㎥ |
水タンク | 120ℓ |
車両全長 | 5,290mm |
車両全幅 | 1,880mm |
車両前高 | 2,805mm |
トラックアジテータには、生コンの品質を保ちながら工事現場まで運ぶための設備がそろっています。
トラックアジテータについている設備を5つ解説します。
トラックアジテータの設備
・ドラム
生コンクリートを積載し攪拌するための円筒状の設備です。
硬化や材料の分離を防ぎ、コンクリートの品質を保つため、走行中もドラムを回転させる機能があります。
・ホッパ
ドラムに生コンクリートを投入する入り口です。 車両の後ろ上側についていています。
・シュート
生コンクリートを荷下ろしする際に利用する設備です。 上下左右に動かすことができます。
・水タンク
生コンクリートの荷下ろしが完了した後、 トラックアジテータを清掃するための水が入ったタンクです。 生コンクリートが付着していると、硬化してします。そのため、 シュートやホッパ、ドラムを速やかに現場で洗うことで、性能を保つことができます。 回転方向と回転スピードは車の横についているレバーで操作します。
・レバー
ドラムの回転方向や回転速度を調整するための操作レバーです。運転席の後部と車両の後部についています。レバーを倒す方向で回転方向を操作して、倒す角度によりスピードを調整できる仕組みです。前に倒すと撹拌され、後ろに倒すと搬出する方向で回転します。
ちなみに運搬しているときドラムは時計回りに回転していて、荷卸し時は逆方向に回転させます
通常では、ドラムが時計回りに回ることで内部に設置されたブレードがドラム内部にコンクリートを押しとどめる役割を担います。
荷卸しするときは逆方向に回転させることで、通常は内部に押しとどめる役割を担っているブレードが、今度は生コンを外に押し出す役割へ変わるのです。
その結果、運搬と荷卸しの時で、ドラムの回転方向が違っています。
生コンの運搬って決まりがありますか?
生コンの運搬については、JISで決まっているので解説します
トラックアジテータが運搬するコンクリートはJIS製品であり、規格が厳しく決まっています。
「コンクリートを現場に持っていく機械」とはいえ、大きなドラムに入れて運搬するだけではありません。
ここでは、レディーミクストコンクリート運搬の規格について解説します。
コンクリートは練混ぜを開始してから刻一刻と状態が変化していくのも”ナマモノ”であり、厳密に運搬時間が決まっています。
JISでは、以下のとおり明記されています
9.4 運搬
レディーミクストの運搬時間 6)は、生産者が練混ぜを開始してから運搬車が荷卸し地点に到着するまでの時間とし、その時間は1.5時間以内とする。
JIS A 5308 レディーミクストコンクリート
練混ぜを開始してから荷卸し地点に到達するまでの時間は、1.5時間以内です。
コンクリート配合(水やセメントの分量など)によって種類が異なるので、洗い残しや水が残らないように注意する必要があります。
洗い残しや水が残ると配合が変わってします
ドラムの中の細かい部分でも、コンクリートの洗浄を忘れてしまうと付着したまま取れなくなってしまいます。
洗い残しによるコンクリートの付着に注意
そのため、一度生コンを運んだアジテータ車は綺麗に洗浄する必要があります。
コンクリートは温度の管理も重要です。
特に夏場は気温が高いため、コンクリートの水和反応が早く進み、速く固まってしまいます。
そのため、運搬中に生コンの気温が上がり過ぎないように、ドラムの中の温度を調整する必要があります
実際に、打ち込み可能な温度として、コンクリートの温度にも上限が定められています。
暑中コンクリート:打ち込み時のコンクリート温度は35℃以下(例外もあり)
車によってはドラムの中が熱くならないように、直射日光から守る塗料でドラムの外面を塗るなどの工夫を施します。
品質の高い生コンを運搬するために、さまざまな工夫がされているんです
トラックアジテータの運転手になるのに、必要な資格や免許ってありますか?
結論から言うと、車両の大きさにあった運転免許があれば OK です
アジテータ車は8ナンバー登録の特殊車両です。
勘の鋭い方は「運転やドラムの操作といった特別な作業が必要なので、資格や免許が必要なのでは?」とお考えの方がいるかもしれません。
そのため、ここでアジテータ車の運転やドラムの操作に必要な資格や免許について紹介します。
アジテータ車は最大積載量 2~3tといった小型クラスの車両から、11トンの大型車までさまざまな車両区分の車両が存在します。
車両に応じて、必要な運転区分が変わるので注意してください。
現在国内の運転免許区分は「普通」「準中型」「中型」「大型」の4つです。
実際には、道路交通法改正前に免許取得を行った方に対する救済措置として、準中型(5 トン限定) 中型(8トン限定) といった区分もあります。
現在の運転免許区分
・普通
・準大型
・準大型 (5t限定)
・中型
・中型(8t限定)
・大型
各免許区分の運転資格は次のとおりです。
免許区分
区分 | 車両総重量 | 最大積載量 |
---|---|---|
普通免許 | 3.5 t未満 | 2.0 t未満 |
準中型免許 (5トン限定) | 5.0 t未満 | 3.0 t未満 |
準中型免許 | 7.5 t未満 | 4.5 t未満 |
中型免許(8トン限定) | 8.0 t未満 | 5.0 t未満 |
中型免許 | 11.0 t未満 | 6.5 t未満 |
大型免許 | 11.0 t以上 | 6.5 t以上 |
生コンは通常、容積(○○㎡)といった値で注文します。
そのため、体積に比重を掛け算して重量を計算する必要があります。
重量=体積×比重
しかし、生コンは配合によって比重が変わるので、配合計画書を確認して、積載重量が最大積載重量を超えないように考慮して、適切な生コン車の選定を行いましょう。
アジテータ車の運転は車両区分によって求められる運転免許が必要ですが、ドラムの操作に関しては特に必要となる資格や免許は存在しません。
ドラムの操作に関して必要な資格や免許はなし
アジテータ車の運転手は車両区分の運転資格を満たす免許を保有していれば、 ミキサー 車を運転してドラムの操作を行うことができます。
資格がなくても操作はできてしまうかもしれませんが、反対に回すと生コンが搬出されてしまうので、ドラムの回転方向にはくれぐれも注意しながら運転してください。
アジテータ車っていくらくらいするんですか?
10t車で1,500万円以上と非常に高価です
さて、ここまで読んでくださった方の中には、お値段が気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
もちろんメーカーやいろんな条件で前後しますが、おおよその目安として、3tくらいの小型車で500万円程度。
10tの大型車だと1,500万円以上になるそうです。
ちなみに、中古車だと10tで300万円〜550万円程度で販売されてました
また、ある会社の資料によるとリース費用は月25万〜35万円程度のようです。
10t車 | 4t車 | 備考 |
---|---|---|
352,000円 | 286,000円 | 回送は別費用 |
購入の場合でもリースの場合でも、高価な車両になるため、日々のメンテナンスが必要不可欠ですね。
トラックアジテータ車に関してよくある質問をまとめました。
一般的にミキサー車と呼ばれる生コン車を運搬する車は、専門用語では「アジテータトラック」又は「トラックアジテータ」 と呼びます。
ドラムを回転させながら運搬しているので練り混ぜ (mix) しているようにみえますが、 実際には生コン工場で練り混ぜた生コンを撹拌(agitate)しながら運搬するので、「トラックアジーテータ」 「アジテータトラック」と呼ぶのが正式です。
アジテータ (Agitate) は、“撹拌”という意味の言葉です。 生コン工場で練り混ぜた生コンをアジテータ車で撹拌しながら工事現場に搬入します。
コンクリートは水とセメント、骨材の複合建設材料で、比重が異なる材料を混合しているめ、そのまま運搬すると重いものは沈み、軽いものは上へと材料分離が生じてしまいます。
ドラムを回転させることで、 材料の分離を防ぎ、生コンの品質を均一に保ちます。
・アジテータとは、攪拌という意味の言葉
・生コン工場で練り混ぜた生コンの品質を保つために撹拌して運搬している
・トラックアジテータには付いている設備は、ホッパ、 ドラム、シュート水タンク
以上、トラックアジテータについて解説しました。
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『つちとき』にコメントする
コメント一覧 (2件)
おはようございます。いつも貴サイトで土木のイロハを勉強させていただいています。
私は昔、港湾土木の施工管理経験がありますが、現在の発注者支援業務では
土木工事の経験が無いため、日々勉強しながら業務に取り組んでいるところです。
知っているつもりで使っていた言葉の意味が今頃分かったり、え?そんな事だったのか!とか
本当に助かっています。
今朝もアジテータとミキサーの違いを勉強させていただいたところでした。
そのなかのまとめに変換ミスが1箇所ありましたのでお知らせいたします。
「生コンの品質を保つために拡販して運搬している」 アジテータ(攪拌)が(拡販)になっています。修正よろしくお願いいたします。
貴サイトの益々のご発展と、ゼネタ様のご健勝をお祈り申し上げます。
瀬戸淳幸様
コメントありがとうございます!
いつも読んでくださって大変嬉しい限りです。
ご丁寧なコメントに加えて、ご指導までいただきありがたい限りです。
執筆をして良かったなと思いました。
今回のように、至らない点もあるかもしれません。
ですが、今後もお役に立てるように精進してまいりますので、よろしくお願い致します。