\ 公式LINE登録は完全無料 /
今すぐお友達になる公式LINE限定で、土木施工管理技士試験対策のプレミアム記事を公開中
土方カーブって何?
土方カーブって現場でどのように使うの?
土方カーブを使うとどんなメリットがあるの?
本記事では、こんな悩みを解決します。
・土方カーブの使い方や原理
・土方カーブを利用する場面
・土方カーブを使用する際の注意点
この記事では、土木の現場監督として7年間働いた私が、土方カーブの計算方法と現場での利用方法を解説します。
これを読み終えれば、現場で土方カーブを使いこなすことができるようになり、現場の管理に係る時間が減らすことができます。
執筆者
『つちとき』管理人|元準大手ゼネコン勤務|土木の現場監督7年|1級土木施工管理技士|【経験工種類】道路土工事、トンネル、PC上工、橋梁下部工|書籍『仕組み図解 土木工事が一番わかる』出版
また、土方がどのように見られているか、については[土木作業員がクズと言われる理由!工事現場で7年働いた元ゼネコンマンが解説]で詳しく解説しています。
土方カーブというのは、単曲線の中間点を簡単に計算し、現場に再現できる方法です。
単曲線の中心点を簡単に算出できるので、光波測量器等の測量機器を使用することなく、現場で簡易的にカーブを再現することが出来ます。
単曲線の中間点を簡単に求めるための計算方法
では、実際に現場でどのように出していくのか、詳しく解説してます。
起点(No.0)、終点(No.1)、中間点(No.2)の位置がわかる単曲線を例にします。
土方カーブは、単曲線上の位置がわかっている場合、その中央点を四則演算だけの簡単な計算で求められることです。
具体的には、No.0〜1(No.0+10)の中央点およびNo.1〜2の中央点(No.1+10)は、以下の式で算出することができます。
M2=M1÷4
つまり、
M1=2.0mとすると、
M2=M1÷4
=0.5m
となります。
このように、難しい座標計算をすることなく、単曲線の中間地点を算出する方法が土方カーブです。
L2 が 「L1の1/4 」となることから、ヨンブンノイチと呼ばれる理由です
実際にどのように土方カーブを用いるのかわかったところで、土方カーブの公式を紹介します。
土方カーブの公式
M1≒(C^2)/8R
M2=M1/4
この図のように、既知の情報から、簡単な四則演算で単曲線の中間地点を算出することができます。
土方カーブは、丁張を用いるような土工事の現場で使用します。
土方カーブの使い方について、理解を深めるために、具体的な計算事例を3つ紹介します。
・単曲線の3点が既知であり、その中間の位置を算出したい場合
・単曲線の半径及び単曲線の2点が既知であり、中間地点を算出したい場合
・単曲線の3点が既知であり、半径を求めたい場合
単曲線上の既知点3点から、 その中間点の位置を算出する方法です。
これが現場で一番簡単に、土方カーブが活用できる状況ですね
計算方法
①CとM1 を計測する
②M1÷4 より M2 を計算します
計算により求めたM2 を現場に表現することで、 単曲線を表現することができます。
また、さらに細かく位置を出したい場合には、この計算を繰り返すことにより、滑らかな単曲線を表現することができます。
例
M1=5.0mの場合
M2=M1÷4
=5÷4
=1.25m
次に、単曲線の半径がわかっている状況で、2点の既知点より、中間点を計算する方法です。
この図のように、2点の既知点に半径が分かれば、中間点を算出できます
計算方法
①計測したCとRよりM1を計算する
②M1÷4よりM2を計算する
例
C:50m、R200m の場合
M1≒(C^2)/8Rより、
=(50^2)/(8×200)
= 1.5625m
最後に半径が分からない場合、 既知点3点から半径を求める方法です。
計算方法
①M1とC を計測する
②M1とCよりRを計算する
といった手順で計算します。
例
C:50m、M1:1mの場合
M1≒(C^2)/(8R) より、R=(C^2)/(8×M1)
R=(50^2)/(8×1)
=312.5m
現場で簡単に計算できて、測量機器なしで作業ができる土方カーブですが、使用する上で、注意点があります。
・計算が可能なのは基準の中央点のみ
・精度は高いと言えない
それぞれ詳しく解説します。
土方カーブは便利な計算ですが、使用できるのは、基準となる点の中央点のみとなります。
その理由は、あくまで四則演算として近似式を用いた公式であるから。
道路土工-施工指針によると、丁張の設置間隔は300m以上の場合、10m であり、延長が300m以下では設置間隔を5mとされています。
そのため、10m 間隔の丁張とすると、まず計算可能な点は10m間隔の中央である 5m です。
そして、5m を設置したあとに、その中央点である 2.5m 及び 7.5m 地点に設置できます。
その他の場所では、土方カーブの計算式を使用できないので注意してください。
土方カーブを用いる際には、高い精度を要する構造物を構築する際には不向きです。
中央縦線 M1 については、近似値から求めるため、半径が小さい場合、 弦の長さが長くなると、近似値と実測値が大きく異なることに加えて、測量機器を用いないことから、精度は低くなります。
土方カーブは、近似値を用いた式であることに加えて、 測量機器を使用しないため、精度が高いとは言えません。
実際に、弦の長さから近似値で求めた中心縦線 M1は誤差があるので、弦の長さを10m とし、半径を変化させた場合の例を表にまとめました。
丁張の設置間隔を10mとして、その間の中間点を出す場合を想定して、計算しました
弦の長さ(角度)を固定して、半径を変化させた場合
半径 | 弦の長さ | 実測値 | 計算値 |
---|---|---|---|
2000m | 10m間隔 | 0.63mm | 0.63mm |
1000m | 10m間隔 | 1.25mm | 1.25mm |
500m | 10m間隔 | 25.00mm | 25.00mm |
100m | 10m間隔 | 125.1mm | 125.0mm |
50m | 10m間隔 | 2,506mm | 2,500mm |
10m | 10m間隔 | 13,397mm | 12,500mm |
このように、 半径が小さくなると無視できない誤差の大きさになります。
次に、半径100m の曲線とし、弦の長さを変化させた場合の例を表にまとめました。
半径を固定して、弦の長さ (角度)を変化させた場合
半径 | 弦の長さ | 実測値 | 計算値 |
---|---|---|---|
100m | 10m間隔 | 125.1mm | 125.0mm |
100m | 20m間隔 | 503.0mm | 500mm |
100m | 30m間隔 | 1,131.4mm | 1,125.0mm |
100m | 40m間隔 | 2,020mm(2.02m) | 2,000mm(2.00m) |
100m | 50m間隔 | 3,175.4mm(3.175m) | 3,125.0mm(3.12m) |
このように30m間隔で中央点をだそうとすると、無視できない誤差になります。
土方カーブを使用するためにも、丁張は10m間隔でかけるのがベストです
このように、近似値による誤差に加えて、測量機器を使用しないことによる施工誤差もあるため、許容できる場合に使用してください。
土方カーブは現場で簡易的に位置を出すことができますが、注意点があります。
それは、シビアな規格値の構造物を構築する際には適さないということ。
精度が高いとはいえない
例えば、新設の道路を構築する工事では、基準となる点は光波等の測量機器で位置を出し、あくまで最低限必要な部分のみ土方カーブを補助的な要素として用いて下さい。
構造物の構築前に必ず別の方法で確認しましょう。
土方カーブはあくまで補助的手法です。
土方カーブの計算方法と現場での利用方法について解説しました。
・「M1≒(C^2)/8R」「M2=M1/4」
・基準となる点の中央点を出す場合に土方カーブは効果的
・シビアな規格値の構造物を構築する際には適さない
以上、現場で簡単にRを出す土方カーブについて方法をお伝えしました。
この記事が気に入ったら
フォローしてね!
『つちとき』にコメントする