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暑中コンクリートって何ですか?
打設時のコンクリートの温度って何度以下ならいいの?
打ち重ねの許容時間はある?
本記事ではこんな悩みを解決します。
暑い日のコンクリート打設ってめちゃめちゃ大変ですよね。
しかも、コンクリート温度が高くなることで水和反応が進みやすく、コールドジョイントなどに加えて、スランプ値の低下によるポンプの閉塞リスクも高まることから、不具合が生じる危険があります。
普段の作業に比べて品質管理上気を付ける項目も多く、打設中は連続作業になるので熱中症も危険です。
そう言った不具合を防ぐためにも、本記事では、暑中コンクリートとはどのようなものか、仕様書の決まりや、暑中コンクリートを扱う場合の特徴や注意点を、具体例を交えてわかりやすく解説していきます。
この記事でしっかりと学んで、高品質の構造物を安全に作り上げましょう。
技術者として一段上のレベルに上がれるので、ぜひ最後まで読んでもらえると嬉しいです。
・暑中コンクリートの概要と特徴
・暑中コンクリートの製造時 運搬時の注意点
・暑中コンクリートの施工・養生時の注意点
執筆者
『つちとき』管理人|元準大手ゼネコン勤務|土木の現場監督7年|1級土木施工管理技士|書籍『仕組み図解 土木工事が一番わかる』著者
『つちとき』管理人|元準大手ゼネコン勤務|土木の現場監督7年|1級土木施工管理技士|【経験工種類】道路土工事、トンネル、PC上工、橋梁下部工|書籍『仕組み図解 土木工事が一番わかる』出版
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暑中コンクリートって何ですか?
日平均気温25度を超えることが予想されているときに使用するコンクリートです
暑中コンクリートとは、土木学会標準示方書 [施工編」 及び JASS 5 では、日平均気温が25度を超えることが予想されている期間に使用するコンクリートをいいます。
夏場の時期になると、セメントの水和反応が促進されるので、スランプの低下により様々な問題の原因となるため対策が必要です。
ちなみに、ちょっとした余談ですが、暑中コンクリートの条件となる「日平均気温」というのは、言葉の通り一日の平均の気温です。
なので、1日が終わってみないと正確にはわかりません。
では、いつ暑中コンクリートを適用するのか?
結論から言うと、気象庁のデータを用いて「過去の傾向から日平均気温が25度を超える期間」は暑中コンクリートを適用します。
覚えるべきこと
・荷下ろし時のコンクリート温度は35℃以下
・練り混ぜから打ち終わりまで1.5時間以内
・打ち重ねの許容時間は外気温25度以上の場合は2時間以内
基本的には、生コンプラントが暑中コンクリート対策として、夏季用の配合を用意してくれます。
なので、プラントが作成した配合計画書を確認しましょう。
暑中コンクリートは夏季のコンクリート施工時の施工において、 気温の上昇に伴いセメントの水和反応が促進され硬化するのが早くなります。
そのため、以下の特徴があります。
書中コンクリートの特徴
通常の配合に比べて、 同一スランプとするための単位水量が増加する
連行空気量が減少する
初期の強度発現に優れるが長期強度の伸びが小さい
どれも気温の上昇に伴う水分の一散や、水和反応の促進に伴う現象です
次に、 施工上の特徴を紹介します。
夏季のコンクリート施工時には以下の不具合が生じやすいので注意が必要です。
・スランプの低下に伴いコールドジョイントが発生しやすい
・急激な水分の蒸発からプラスチック収縮
打ち重ねを伴うコンクリートの施工では、先に打ち込んだコンクリートが時間の経過により凝結していきます。
そのため、下層のコンクリートと一体化させるためには、下層のコンクリートが固まる前に上層のコンクリートを打設する必要があるのです。
しかし、夏季の施工では、コンクリートの温度が高くなり水和反応が進みやすく、通常時期の施工に比べてコンクリートは早く固まってしまいます。
そのため、夏季の施工では打ち重ねの部分が一体化せず不連続な面が形成されるコールドジョイントを防ぐことが大切です。
プラスチック収縮ひび割れにも注意が必要です
また、打設完了後のコンクリート温度の上昇により、表面の水分がなくなり急激に乾燥すると、ブラスチック収縮ひび割れの原因となってしまいます。
このような懸念があることを踏まえて、 暑中コンクリートでは不具合を生じさせないために、どのような対策を行っていけばいいのか解説します。
暑中コンがどんなものかわかりました
次に練り混ぜ時の問題点や注意点について解説します
まずは、コンクリートの材料と練り混ぜた後の生コンの温度との関係を解説します。
コンクリートは荷下ろし時に35度以下としなければなりません。
荷下ろし時のコンクリート温度は35度以下
そのため、練り混ぜ後のコンクリートの温度は、練り混ぜ前の材料の温度に大きく依存します。
材料の影響は以下のとおりです。
練り混ぜ後のコンクリートの温度を1℃変化すると
・セメント温度± 8℃
・水の温度±4℃
・骨材の温度±2度
このとおり、骨材の温度がコンクリートの温度に与える影響が一番大きいです。
『実際に”長時間炎天下にさらされた骨材を使用する”と練り上がりの生コン温度は40度以上になる』と、生コンプラントの方から教えてもらいました。
この内容を踏まえて、製造時における暑中コンクリート対策について解説します。
製造時の暑中コンクリート対策は、 生コンクリートの製造工場で対策してもらわなくてはいけません。
生コンクリートに使われる骨材である砕石や砂といった骨材は、使用量が多いため屋外の保管が一般的です。
ですが、 屋外といっても直射日光にさらされていると温度変化が大きくなるため、骨材の保管場所に屋根を設けて保管し、コンクリートの温度抑制を行います。
暑中コンクリートでは、水和の反応を遅らせる混和剤 (減水剤) を使用するのが一般的な方法です。
温度が高いことで水和反応が早く進んでしまいますが、遅延型の混和剤を用いることで水和反応を抑える効果があります。
プラントから提出される夏季配合の混和剤は遅延型になっているのでしっかりと確認しましょう
先ほど示した通り、コンクリート練り上がりの温度は、使用する材料の温度に大きく影響されます。
そのため、逆にいうと暑中コンクリートのチア作として、使用する材料の温度を下げることは コンクリートの温度を下げるために効果的な施策です。
実際に、『生コン工場での製造時における暑中対策について(石田聡 アサノコンクリート(株)』の論文によると、「生コン工場における具体的な温度の抑制および低減対策例」として503箇所の生コン工場に対応策をしているのか調査したところ、「練混ぜ水を地下水に変更する」と回答した生コン工場が60で1位、「粗骨材に散水する」と回答した生コン工場が53で2位といった回答を得ました。
コンクリート温度が35℃超える場合の対策
対応策 | 件数 |
---|---|
練混ぜ水を地下水に変更する | 60 |
粗骨材に散水する | 53 |
トラックアジテータのドラムを覆う、散水する | 18 |
混和材を遅延系や高性能型、高性能型AE減水材に変更する | 27 |
氷を使用しコンクリート温度を下げる | 3 |
その他(現場と協議し、早朝打ち込みや、待機時間を減らす。暑くなることが予想される場合はセメント温度の管理など) | 11 |
今までコンクリート温度が35℃を超えたことがない | 13 |
練り混ぜ水に地下水を用いることで水温を下げ、粗骨材に散水を行うことで骨材の温度を下げるといった対策が多くの工場で実施されていています。
運搬時に気を付けることってなんですか?
生コンの運搬時に気を付けることは、「工場の選定」 「温度上昇の抑制」 「打設を開始する時間」です。
ここでは、 暑中コンクリートにおける運搬時の注意点や問題点について解説します。
生コンの運搬時間は「短ければ短い方がいい」のですが、現場とプラントの位置によって運搬時間は決まってしまいます。
JISでは「練混ぜから荷下ろし地点までの到着を1.5時間以内」となっていますが、コンクリート標準示方書ではより厳しくなっています。
コンクリート標準仕様書の記載内容は以下のとおりです。
外気温が25℃を超えるときは、 練混ぜてから打ち終わるまでの時間の標準を1.5時間以内としているため、工場から現場までの運搬時間は1時間以内を目安に生産者と協議して定めるのがよい
2012年施工編 P107
そのため、生コンプラントの都合があるとは思いますが、できるだけ近いブラントを選定しましょう。
あくまで私の経験ですが現場までの運搬時間は30分~40分くらいが標準です
運搬時に効果的な対策が、 アジテータ車におけるドラムの遮熱塗装です。
運搬時にアジテータ車のだらむは直射日光を受けることによりドラムの内の温度が上がり、ドラム内に含まれる生コンの温度が上昇します。
その結果、スランプの低下や空気量の減少につながってしまいます。
アジテータ車のドラムに遮熱塗装を施すことで、ドラムの温度上昇を抑えることができます。
夏場に多くの生コンを打設する場合は、 遮熱塗装を行っているアジテータ車を使っている生コンプラントを使用することをおすすめします
工程上や配車の都合上、どうしようもないこともありますが、できる限り打設時間を朝早い涼しい時間にしましょう。
夏季の施工では、打設の時間は気温が上がりきらない午前から打設が一般的です。
暑い時間に午後から打設するのは大変なので、体調管理の面でも効果ありです
施工時の注意点は何ですか?
施工時の注意点は多いので、しっかり確認しましょう
生コンは現場での品質確保が高品質な構造物を造る大事なポイントです。
施工時の注意点を5つ紹介します。
打設個所の温度を下げておくことで、 生コンの温度上昇を抑制することができます。
なぜなら、型枠の温度が生コンに伝搬することで、温度が上昇するから。
具体的には以下の方法が効果的です。
・型枠へ事前に散水する
・型枠の遮熱養生
打設前に型枠に散水をしておくことで、水分の一散を防ぐとともに型枠の温度を下げることができます。
型枠の清掃時のハイウォッシャーを再利用する
型枠清掃時にハイウォッシャーを段取りしておくと、 型枠を濡らすときにも使えます
また、型枠にシートなどをかけておくことで、直射日光による型枠の温度上昇を防ぐことができます。
特にメタルの型枠などは温度の上昇が大きいため、型枠の温度上昇を防ぐ処置をしておくことが望ましいです。
生コンの温度が35℃を超える場合は、打設にあたってなんらかの措置が必要になります。
打込み時のコンクリート温度の上限は、35℃以下を標準とする。 コンクリート温度がこの上限を超える場合には、コンクリートが所要の品質を確保できることを確かめなければならない
コンクリート標準仕様書2012年 [施工編] P168
外気温の確認と同時に、搬入した生コンクリートの温度も確認が必要なので徹底しましょう。
施工時 養生時の対策 (打設計画)
施工時に一番注意しなければならないことは、 打ち重ねの時間を守ることです。
打ち継ぎ目が不連続とならないように、打ち重ねの許容時間が2.0時間以下になるように配慮した打設計画をたてましょう。
具体例として、フーチングの打設を例に図を使って解説します。
▼打設計画の例
次に、大事なのがしっかりと締固めを行うことです。
コールドジョイントを防ぐために、内部振動機(バイブレータ) を打ち重ねる下層へ10cm入れましょう。
管理方法は以下の通りです。
・事前にバイブレータに下から60cmの位置にしるしをつける
・施工時にそのしるしが埋まるまでバイブレータを入れる
”しるし”を目安にしてコンクリートに埋めることで、下層へバイブレータの振動効果を発揮させることができます。
▼バイブレータに下から60cm でしるしをつける
施工時 養生時の対策 (配車計画)
打設計画で定めた打設の時間を守ることができるように、 生コン車の時間割を定めましょう。
例: 1日200mポンプ車1台で施工する場合
打設予定数量が1時間で32㎡(8台)とする
→1台当たり 7.5分ピッチ
片道30分
打設時間7分
入れ替え場内運搬 3 分
ブラントでの待機と練混ぜの時間を考慮しないで計算すると、
プラント~打設個所~プラントまでは、往復70分
つまり、10台の生コン車を確保してもらえば、計算上待ち時間なく施工を行うことができます。
この例のように、作業性と品質の両面を考量した配車計画を事前に検討し、 生コン工場と情報を共有しておきましょう。
不具合の発生を極力抑えるために、 しっかりとした計画を立てることが大切です。
「生コン車がこなくて、コールドジョイントができてしまった・・・」なんて悲しい未来は避けたいですよね…
暑中コンクリートは、硬化も早く進むのに加えて、直射日光や風にさらされることで仕上げが困難になります。
実体験ですが、夏に打設した際に30分別の仕事をしてきて戻ったら、かなり硬化していて仕上げが汚くなってしまったことがあります
直射日光や風による影響を防ぐために、シートなどで覆いましょう。
逆にやってはダメなことが、コンクリートに直接風を送ること。
コンクリート温度を下げるために送風を行う
コンクリートの表面が乾燥してしまいひび割れ発生の原因となってしまうため、直接風を送るのはNGです。
ちなみに、夏場の打設で、早強コンクリートの打設を行うと、夕方には人が乗れるくらいに効果が早いです
養生マットを早めに敷いておくことで、ひび割れを防ぐことができますし、より高品質のコンクリートを作ることができます。
また、膜養生を行う場合もありますが、膜養生はコンクリート表面の水光りが消えた直後に行いましょう。
膜養生の散布のタイミングは土木施工管理技士の試験に数回出題されています
なお、コンクリート標準示方書では、湿潤友情期間は以下のとおり定められています。
湿潤養生期間
日平均気温 | 普通 | BB | 早強 |
---|---|---|---|
15℃以上 | 5日 | 7日 | 3日 |
湿潤養生期間を守って、 高品質な構造物を造りあげましょう
暑中コンクリートに関してよくある質問をまとめました。
日平均気温が25℃を超えるようなことが予想される場合、暑中コンクリートとして施工する必要があります。
ポイントは予想であり、気象庁の過去のデータなどから日平均気温が25℃を超えている場合には、暑中コンクリートとして施工します。
①気温が高いとコンクリートの水和反応が早く進むため、凝結スピードが速いので、コールドジョイントができやすい
②同一スランプを得るための単位水量が多くなるため、長期強度の発現が悪くなる
③気温が高いことにより、コンクリート表面の急激な蒸発によりひび割れの発生しやすい
④スランプロスが大きくコールドジョイントやジャンカができやすい
土木学会のコンクリート標準示方書、 日本建築学会の建築工事標準示方書・同解説では、打ち込み時におけるコンクリート温度の上限は35℃以下と定めています。
土木学会のコンクリート標準示方書では、 日平均気温が25℃を超えるときの許容打ち重ね時間は 2.0時間以内。
土木学会のコンクリート標準示方書では、 日平均気温が25℃を超えるときの打込み終了までの時間は 1.5時間以内。
・暑中コンクリートは日平均気温25℃以上のときに適応するコンクリート
・打設時のコンクリートの温度は35℃以下
・外気温が25℃を超える時には、 練混ぜ~打設完了まで1.5時間以内で打ち重ねは2時間以内
・練り混ぜ後のコンクリートの温度を1℃変化させるのに、セメント温度± 8℃、水の温度±4℃、骨材の温度±2℃
以上、 暑中コンクリートについて解説しました。
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