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鋭敏比って何ですか?
土を乱した場合どれくらい強度が低下しやすいのか示す指標です
鋭敏比にはどういう意味があるんですか?
鋭敏比が大きい土というのは、少し乱れただけで強度の低下が著しい土と言う意味です
・鋭敏比って何?
・鋭敏比ってどうやって求めるの?
・鋭敏比が大きい (小さい)とはどういうこと?
こんな悩みを解決します。
・鋭敏比とは何か
・鋭敏比の求め方
・鋭敏比はどういうときに使うのか
この記事では、鋭敏比について求め方、意味を解説しています。
これを読み終えれば、鋭敏比とはどんな意味がある値で、どのようなときに使うのか理解できます。
執筆者
『つちとき』管理人|元準大手ゼネコン勤務|土木の現場監督7年|1級土木施工管理技士|書籍『仕組み図解 土木工事が一番わかる』著者
『つちとき』管理人|元準大手ゼネコン勤務|土木の現場監督7年|1級土木施工管理技士|【経験工種類】道路土工事、トンネル、PC上工、橋梁下部工|書籍『仕組み図解 土木工事が一番わかる』出版
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鋭敏比って何を示す値なんですか?
簡単にいうと、土の乱れによる強度の低下のしやすさのことです
鋭敏比 (えいびんひ)とは、土を乱した場合どれくらい強度が低下しやすいのか示す指標です。
まず大前提として、土は自然的又は人為的に関わらず、かく乱されることで土粒子の構造が変わり強度が低下します。
鋭敏比
「乱さない試料の一軸圧縮強さ」と「含水比を変えずに練り返した試料の一軸圧縮強さ」の比で表したもの
「鋭敏比」という考え方は、基本的には粘土について記述する際に用いられます。
鋭敏比の求め方は以下のとおりです。
St = qu/qr
St(sensitivility): 鋭敏比
qu: 乱さない試料の一軸圧縮強さ(kg/c㎡)
qr: 含水比を変えずに練り返した試料の一軸圧縮強さ(kg/cm²)
式の意味について、詳しく解説します。
先ほどの鋭敏比を求める式を踏まえて、改めて鋭敏比を解説します。
鋭敏比というのは、「乱す前の土の強度は、乱した場合に対して○○倍なのか?」という意味のある言葉です。なので、鋭敏比が大きいというのは「少し乱れるだけで大きく強度が低下する土」ということ。
もう少し、式の意味を噛み砕いて解説していきます。
鋭敏比St = qu/qr
この式の分子であるquについて、まずは解説します。
quとは「乱さない試料の一軸圧縮強さ(kg/c㎡)」ですが、「乱さない試料」 とは「地盤から取り出した自然状態のままの粘土」のことです。
つまり、かく乱前の土をいいます。
次に分母であるqrです。
qrとは「含水比を変えずに練り返した試料の一軸圧縮強さ(kg/cm²)」です。
「含水比を変えずに繰り返した試料」 とは「地盤から採取する際に道具などにより、ほぐされた状態の土」のこと。
つまり、かく乱した後の土をいいます。
一般的に、乱された土は乱されない土より強度は低い
締固めた土よりもスコップでほぐした土の方が、強度が低いというのはイメージできると思います。
鋭敏比が3というと、「乱される前の土の強度は、乱された後の強度の3倍」ということ。
鋭敏比が10というと、「乱される前の土の強度は、乱された後の強度の10倍」ということです。
この例からわかるように、鋭敏比が大きいというのは少し乱れるだけで大きく強度が低下する土ということです。
一般的な粘性土の鋭敏比は2〜4程度です。
ちなみに、鋭敏比の目安は以下のとおり。
鋭敏比の目安
粘性土
8 以上:鋭敏な粘土
10以上:超鋭敏粘土
16を超える:クイッククレイ
参考:『―粘 土 基 礎 講座I―』滋賀県立大学http://www.cssj2.org/wp-content/uploads/clay_11.pdf
鋭敏比の大きな粘土の代表が、スカンジナビア地域に存在する「クイッククレイ」と呼ばれる粘土です。
この粘土は地中海で堆積した粘土で、地盤の隆起により陸上に出てきたもので、自然のまま(乱していない状態)で形を保っていますが、一度粒子の骨格が乱されると、ドロドロの液体状になります。
これは、土粒子の骨格を形成するのに、重要な役割がある塩分が溶脱されていることが原因です。降雨などの影響により土から間隙水中の塩分が溶脱し塩分濃度が低下します。その結果、土粒子同士が反発しあうことで、分散しやすい状態になるのです。
なぜ、塩分濃度が低下すると土粒子同士が反発して分散するのかについては、専門的な説明になるので、興味がある方は以下の説明をご覧ください。
マイナスの表面電化をもつ土粒子とその周辺に存在する電解質イオンにより形成された電気二重層が拡大し、土粒子同士が分散します。
溶脱前
凝集
電気的反発力(離れる) < クーロン力(くっつく力)
溶脱後
分散
電気的反発力(離れる) > クーロン力(くっつく力)
間隙中のイオン濃度が高いと、電気二重層が薄く凝集しています。
しかし、塩分の溶脱が進むと、電気二重層が拡大することで電気反発力が強くなるので、粒子の距離が離れていきます。
鋭敏比の求め方や目安が理解できましたが、 どんな意味をもつ指標なのか知りたいです
鋭敏比が求められる理由について粘性土の特長から解説します
最初に解説したとおり、鋭敏比は粘性土の場合に用いられる指標です。
なぜかというと、粘性土は砂質土とは性質が異なるから。粘性土は圧縮性や弾性があり、 またその構造内に吸着水を含んでいます。
逆に、砂質土は透水性がよいため、ほとんど瞬間的に排水してしまうことから間隙水圧の影響ははとんどありません。
しかし、粘性土は非常に長い時間、間隙水圧の影響を受けます。
粘性土特有のせん断の特性は、間隙水圧があることが原因です
鋭敏比の前提が分かったところで、次に鋭敏比を求めるのに必要な一軸圧縮強度試験について解説します。
鋭敏比を求めるのに活用する一軸圧縮強さは側圧がない状態で測定する圧縮荷重の最大強度です。
一軸圧縮試験
土の一軸圧縮強さを求める試験
その一軸圧縮強度を求める試験が、一軸圧縮試験です。
試供体を鉛直方向に圧縮することで、圧縮力は徐々に増していきます。
これによって供試体の強度が増していきますが、ある時点で供試体の圧縮強度はピークを迎え、その後は強度が低下していきます。
徐々に増していった圧縮力に対して、ピークの強度が圧縮強度です。
繰り返した試料で、強さのピークが現れないこともあります。その時は15%のひずむに対する圧縮強さをqurとして鋭敏比を求めます。
鋭敏比St=qr / qur
ちなみに、地盤の固さを示すN値と一軸圧縮強度は関係があります。
一軸圧縮強度とN値との関係は
qu=12.5×N
です。
ちなみに、N値については[N値とは? 換算N値の違いや求め方、地耐力との関係を1級土木施工管理技士が解説]で詳しく解説しています。
✅N値の求め方や地耐力について解説してます。
どんな試験方法でN値を求めるのか、地耐力の目安についても解説しているので、自信を持って他の人には説明できないなら、確認しておくことをおすすめします。
関連記事 N値とは? 換算N値の違いや求め方、地耐力との関係を1級土木施工管理技士が解説
最後に鋭敏比に関するよくある質問をまとめました。
鋭敏比は「えいびんひ」と読みます。
鋭敏比は英語で sensitivity ratio です。
sensitivity 繊細さ、影響の受けやすさ
ratio 比率
通常の粘土であれば、鋭敏比は2〜4程度です。
鋭敏比が8以上の粘土を鋭敏な粘土
10以上を超鋭敏な粘土と呼びます。
土の一軸圧縮試験により一軸圧縮強さを求めて鋭敏比を求めます
鋭敏比St = 乱さない試料の一軸圧縮強さ(kg/c㎡) / 含水比を変えずに練り返した試料の一軸圧縮強さ(kg/cm²)
鋭敏比について式の意味や求め方を解説しました。
どんな時に活用して、どうやって求めれば良いのか理解できたと思います。
・鋭敏比は「乱さない試料の一軸圧縮強さ」と「含水比を変えずに練り返した試料の一軸圧縮強さ」の比
・土が乱した際にどれだけ強度が低下するのかという指標
・鋭敏比が大きいほど、土が乱れた際の強度の低下が大きい
・一般的な粘性土の鋭敏比は2〜4程度
以上、鋭敏比の求め方や意味について解説しました。
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