土工事で配分計画を立てるために土量計算ができるようになりたいです。
土量の計算ではほぐし率と締固め率を考慮するのがポイントです。
土量の変化率のことですよね?なんとなくはわかります。
覚えると現場でも役に立ちますし、1級土木の試験にも必ず出題されます。
- 土量の計算方法が知りたい
- 効率的に土量の計算ができるようになりたい
- 実際の現場ではどのように土量の計算をしてるのかしりたい
こんな悩みを解決します。
土量計算について
土の3つの状態について
土量計算の注意点
この記事では、土工事では必須の土量計算について解説します。
これを読み終えれば土工事の配分計画を立てたり、土工事の施工計画を立てるのに必要な土量の計算ができるようになります。
執筆者
元ゼネコンマンの1級土木施工管理技士が、土工事で必ず必要な度量の計算方法について例題つきで解説します。
なお、土工事については[土工事とは?一級土木施工管理技士が徹底解説]で詳しく解説しています。
土量計算の方法とは!?
土量計算のための勉強ってなにから始めればいいですか?
土は状態によって体積が異なることを理解するところから始めましょう。
土の状態は大きく3つに分けられて、状態によって体積が異なります。
- 地山の状態にあるとき(地山の状態)
- 地山から掘削したとき(ルーズな状態)
- 人為的に締め固めたとき(締固めた状態)
具体的な例として、切土量5万m3で盛土量が5万m3の現場では土が不足します。
これは土量の変化率を考慮していないからです。
切土の5万m3を転用しても、盛土5万m3にはならないということ。
なお、盛土については[盛土とは!?元ゼネコンマンの1級土木施工管理技士が解説]で詳しく解説しています。
また、盛土の施工手順については[盛土の施工手順!現場経験7年の元ゼネコンマンが徹底解説]で詳しく解説しています。
土量計算では土量変化率を考慮する
土量の計算を行う上では、土量の変化率を考慮する必要があります。
一般的に地山の状態を基本として、体積の変化を土の変化率といい、ほぐし率Lと締固め率Cで表します。
ほぐし率L=ほぐした土量(㎥)/地山土量 (㎥)
締固め率C=締固め土量(㎥)/地山土量(㎥)
ほぐし率と締固め率は、土砂なのか硬岩なのかや、土の種類によって異なります。
両方とも地山の状態との比較の値であることに注意です。
なお、土量変化率については[土量の変化率とは?元ゼネコンマンの1級土木施工管理技士が徹底解説]で詳しく解説しています。
土量計算の注意点
土量の変化率を求めるには、地山土量が200m3以上であると信頼できるといわれています。
できれば500m3以上が望ましいです。
(社)日本道路協会が発行する書籍『道路土工要綱』にも以下のように記載されています。
信頼できる地山土量としては200m3以上、できれば500m3以上が望ましい。
『道路土工要綱(平成21年度版) 』社団法人日本道路協会P272
以上の内容を踏まえて、詳しい計算例を挙げていきます。
また、現場で土量を計算する方法は[台形(四角錐台)の体積の求め方!オベリスクの体積計算について解説【現場で残土の体積を測定できます】]で詳しく解説しています。
✅オベリスク体積の公式を解説
現場で計算するための測量方法や計算例を交えて解説しているので、土工事に従事されている方は必見です。
関連記事 台形(四角錐台)の体積の求め方!オベリスクの体積計算について解説【現場で残土の体積を測定できます】
土量計算の問題例
実際に土量を計算してみたいです。
例題をいくつか出すので、一緒に考えてみましょう。
基本的な問題からどんどん難易度を上げていきます。
1級土木の試験でも必ず出る問題ですし、現場でも役に立つ知識なのでしっかりと勉強しましょう。
運搬土量の計算
例題:地山A=500m3を掘削して運搬するときの運搬土量を求めよ。
ただし、土のほぐし率L=1.2、締固め率C=0.8とする。
①運搬土量 A×B=500×1.2=600m3
500m3の地山を掘削して運搬すると600m3になります。
盛土量の計算
例題:地山A=500m3を掘削して運搬するときの盛土量を求めよ。
ただし、土のほぐし率L=1.2、締固め率C=0.8とする。
①盛土量 B×C=500×0.8=400m3
500m3の地山を掘削して盛土すると400m3になるということです。
盛土量から地山土量と運搬土量を計算
今度は逆に盛土量から計算しましょう。
例題:盛土量A=500m3を施工するのに必要な地山土量と運搬土量を求めよ。
ただし、土のほぐし率L=1.2、締固め率C=0.8とする。
①地山の土量B A÷C=B=500÷0.8=625m3
②運搬土量 B×L=625×1.2=750m3
500m3の盛土をするのに地山土量は625m3が必要で運搬土量は725m3になります。
つまり現場では725m3運ぶだけのダンプトラックの手配が必要になります。
ほぐし率L=1.2で、締固め率C=0.8の場合、運搬土量の計算は、
盛土量×ほぐし率÷締固め率=盛土量×1.5
となります。
現場で土を転用した場合の土量を計算
例題:盛土量A=2,000m3が必要な土工事で、現場で利用できる地山土量がB=500m3であるとき購入する土量を求めよ。
ただし、現場で利用できる土のほぐし率L=1.2、締固め率C=0.8、購入土のほぐし率L’=1.1、締固め率C’=0.9とする。
①現場で使用できる地山の盛土量 B×C=500×0.8=400m3
②購入土の盛土量 D=A-B×C=2,000-400=1,600m3
③購入土の盛土量 D÷C’=1,600÷0.9=1,778m3
④購入土運搬土量 D÷C’×L’=1,600÷0.9×1.1=1,956m3
購入する土量は1,956m3となります。
現場で土を転用した場合の土量を計算②
今度はボリュームを上げてみます。
例題:盛土量A=100,000m3が必要な土工事で、現場で利用できる地山土量がB=50,000m3であるとき購入する土量と、またダンプトラックの運搬台数を求めよ。
ただし、現場で利用できる土のほぐし率L=1.2、締固め率C=0.8、購入土のほぐし率L’=1.1、締固め率C’=0.9とする。
また、ダンプトラックの積み込み土量はほぐし土量で5.0m3とする。
①現場で使用できる地山の盛土量 B×C=50,000×0.8=40,000m3
②購入土の盛土量 D=A-B×C=100,000-40,000=60,000m3
③購入土の盛土量 E=D÷C’=60,000÷0.9=66,667m3
④購入土の運搬土量 F=D÷C’×L’=60,0000÷0.9×1.1=73,333m3
⑤ダンプの運搬台数 G=F÷5=73,333÷5=14,667台
購入する土量は73,333m3、ダンプ運搬台数14,667台
実際の現場により近い規模で計算してみました。
ほぐし率や締固め率が、0.1違うだけでダンプの台数がかなり変わります。
仮に購入土の締固め率C’=0.8とすると、購入土は75,000m3となり、ダンプ台数は15,000台となります。
ダンプ台数にすると334台と大きく異なります
土量計算について【まとめ】
土工事の土量の計算方法について解説しました。
現場でもすぐに使えて、1級土木の試験でも出題される重要な問題です。
土量計算ではほぐし率と締固め率に注意する
土は地山の状態、ルーズな状態、締固めた状態の3つ
土量の計算は「ほぐし率と締固め率」によってかなり異なるので注意
以上、土工事では必要不可欠な土量の計算方法について、例題を用いて解説しました。
参考書籍
『道路土工要綱』平成21年度版
『つちとき』にコメントする