盛土の施工手順!現場経験7年の元ゼネコンマンが徹底解説
盛土の作業ってどんな順番で進んでいくんですか!?
盛土の作業は、材料の搬入→敷き均し→締固めの3ステップです。
なるほど、どんな管理が必要ですか?
敷き均しの厚さと、締固め度等の品質の管理が必要です。
- 盛土の作業手順ってどーやるの!?
- 盛土ってどんな管理が必要なの?
- 盛土の作業って環境へ影響しないの!?
こんな疑問を解決します。
盛土の施工手順について
盛土の施工に必要な管理について
盛土の工事と環境への配慮について
この記事では、盛土の施工手順を解説します。
これを読めば盛土の施工手順や品質の管理方法が理解できます。
執筆者
1級土木施工管理技士で元ゼネコンマンが、1級土木施工管理技士の試験でも良く出題される盛土の施工について解説します。
また、同じく1級土木施工管理技士の試験で進出問題である度量の変化率については、コチラの記事で詳しく解説しています。
盛土の施工手順①材料の搬入
盛土の作業の段取りには何が必要ですか!?
まずは、材料の搬入が必要です。
- 材料の手配
- 丁張をかける
まずはこの2つの作業が必要です。
材料がないと作業を始めることができません。
土工事の作業で必要な丁張については、土木工事における丁張のかけ方!丁張について元ゼネコンマンが徹底解説【若手技術者向け】で詳しく解説しています。
盛土に適した土はどんな土なのか詳しく見ていきましょう。
盛土に適した材料とは!?施工の効率UP!
土は建設材料の中でも、安価で材料の性質が安定したものです。
盛土の材料には、施工が容易で、盛土の安定性を保ち、かつ有害な変形が生じ無いような材料を用いる必要があります。
- トラフィカビリティ(走行性)がよいこと
- せん断強さがあり、圧縮性が小さく、浸食に対して強いこと
- 木の根や、草など有機物を含まないこと
- 膨張性の大きいベントナイトや、有機土などを用いないこと
これは1級土木施工管理技士の問題としてよく出題されるので理解しましょう。
盛土の施工手順②敷均し
よーし、土を搬入したからどんどん盛るぞー
待って待って、一度に敷き均すことができる高さは決まってます。
土は均一に敷き均しを行い転圧を行うことで所定の強度と支持力を発揮することができます。
敷き均しの厚みのことを巻き出し厚とも言いますが、発注者によって巻き出し厚も決まっているので、よく確認しましょう。
盛土の施工手順②敷き均し厚を管理する
現場では丁張をかけたり、構造物にマーキングを行って巻き出し厚を管理します。
このようなテープが構造物についているのを見たことないですか!?
1層ごとに写真をしっかり撮りましょう。
盛土の施工手順③締固め
盛土の締固めって締固め度があればいいんじゃないんですか?
盛土の締固めは品質規定方式にも2つの種類があります。
大きく分けると、発注者が定める工法規定方式と受注者が決める品質規定方式がありますが、一般的には品質規定方式を使用します。
品質規定方式では、盛土の品質を管理する手法として、最大乾燥密度と最適含水比も用いた締固め度による管理が一般的です。
しかし、土質力学でも出て来るように、土は粘土と砂質土で性質が異なります。
そのため、管理手法も大きく分けて2種類あります。
- 最大乾燥密度と最適含水比による締固め度で確認する方法
- 空気間隙率または飽和度で確認する方法
せっかくなのでこの機会に一度確認しましょう。
盛土の品質管理①最大乾燥密度と最適含水比による締固め度で確認する方法
盛土の品質管理では、締固め度で管理するのが一般的です。
締固め度(Dc)=現場密度/室内試験での最大乾燥密度×100%
国土交通省の道路工事で対象土が砂質土の場合の締固め度は以下の通りです。
工種 | 締固め度(Dc) |
---|---|
路体 | 90%以上 |
路床 | 95%以上 |
盛土の品質管理②空気間隙率または飽和度で確認する方法
この方法は①の方法が適用しにくい、自然含水比が高い粘土に対して適用される方法です。
関東では関東ロームを使った盛土などはこの手法で管理します。
締固めた土の湿潤密度及び含水量を測定し求めた空気間隙率(Va)および飽和度(Sr)が規格値を満たしているか確認します。
もちろんこの方法の適用が難しい場合は、①の方法で管理します。
国土交通省の道路工事で対象土が粘土の場合の規格値は以下の通りです。
工種 | 空気間隙率(Va) | 飽和度(Sr) |
---|---|---|
路体 | 2%≦Va≦10 | 85%≦Sr≦95% |
路床 | 2%≦Va≦8 |
盛土の施工と環境!施工手順と関係法令は守りましょう!
土地を大きく変える盛土って環境に良くないですよね・・・
一定規模以上の土地の形質の変更を行う場合は土壌汚染対策法の対象となります。
現在では、土地の形質の変更(3000㎡以上)を行う場合には、土壌汚染対策法に基づき工事着手30日前までに形質の変更を行う者による都道府県知事への届出が必要です。
また、3000㎡未満の広さの土地でも都道府県知事が指定した範囲での施工の場合、土壌汚染対策法の届け出が必要になります。
環境への配慮!建設発生土の抑制
持続可能な社会の実現のためには、建設発生土の削減が課題となっています。
建設業の産業廃棄物は全産業の約2割を占めています。
平成30年度の建設発生土搬出量は1億3263万m3に対して、平成24年度は1億4079万m3と5.85%減のほぼ横ばいです。
持続可能な社会の実現のためには、なるだけ場内で土を使うように受注者発注者一体となって、今後も廃棄物を減らす取り組みをしていきましょう。
盛土の施工手順【まとめ】
盛土の施工手順について解説しました。
管理をしっかり行って高品質な盛土を造りましょう。
盛土の作業は、材料の搬入→敷均し→締固めの3ステップ
盛土は敷き均し厚と、品質(締固め度or空気間隙率)の管理が必要
建設発生土の抑制とCO2排出量の削減のために、できるだけ場内の土を使うようにしましょう。
以上、盛土の施工手順について解説しました。
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