\ 公式LINE登録は完全無料 /
今すぐお友達になる公式LINE限定で、土木施工管理技士試験対策のプレミアム記事を公開中
重ね継手の鉄筋径が異なるとき、 なぜ細い方の鉄筋径を基準にしていいの?
鉄筋の重ね継手で径が異なる場合 (D13、 D19) の場合、 どちらの径を基準にすればいいのでしょうか?
こんな悩みを解決します。
・鉄筋径が異なる重ね継手の場合の基準長さ
・重ね継手のラップ長の計算方法・重ね継手の応力伝達機構
この記事では、鉄筋の重ね継手で径が異なる鉄筋同士を継手する場合、 なぜ細い方の径を基準にしていいのか解説しています
これを読み終えれば、「お、鉄筋の継手について理解しているな」 と思ってもらえるようになります。
執筆者
『つちとき』管理人|元準大手ゼネコン勤務|土木の現場監督7年|1級土木施工管理技士|書籍『仕組み図解 土木工事が一番わかる』著者
『つちとき』管理人|元準大手ゼネコン勤務|土木の現場監督7年|1級土木施工管理技士|【経験工種類】道路土工事、トンネル、PC上工、橋梁下部工|書籍『仕組み図解 土木工事が一番わかる』出版
当サイトの運営者ぜねたの詳しいプロフィールは、コチラです。
なお、YouTubeでも土木工学や土木施工管理技士に関する情報を発信しています。
YouTube
現場で11年間働いて身につけた最新のノウハウを動画で公開中
当サイトでは、現場監督の抱える悩みを解消するコンテンツを用意しているので、ぜひ参考にしてみて下さい。
異なる径の重ね継手は、 太い方の鉄筋径を基準としてラップ長を算出せればいいんですよね?
現場出身の人間として安全側に考えがちですが、実はその計算では間違っています。
鉄筋径の異なる重ね継手の場合は、 小さい径の鉄筋を基準に継手長さを算出すれば大丈夫です。
土木の基準として明記はさていないのですが、JASS 5 や建築基準法では基準が明記されています。
基本的には、設計図書に鉄筋の重ね継手の長さが記載されています。なので、図面で謳っている寸法を守れば問題はありません。
しかし、その計算が間違っている可能性も0ではなく、過大な設計になっている場合もありますので注意しましょう。
最初にお伝えしましたが、鉄筋径の異なる重ね継手の場合は、小さい径の鉄筋を基準に継手長さを算出すれば大丈夫です。
具体的な例を交えて解説しますね。
D19 と D16 の場合
重ね継手の継手長さを鉄筋の直径の20倍とすると、
D19:20D=380mm
D16:20D=320mm
となります。
この場合、 細い方の鉄筋を基準にするので、320mm 以上あればOKです。
そもそも、 異径継手が生じるのはそれぞれ異なる断面で鉄筋量の検討をおこない、 必要な鉄筋量を減ずることができるからです。
少ない鉄筋量でも構造物に作用する力に耐えることが計算で確認できているため、鉄筋の径を変えて細いものにしています。
なので、継手の位置では鉄筋量が少なくても構造上は大丈夫な位置であるということ。
また、継手の設計を行う際に重ね継手の位置は構造的に弱点にならないように応力がかからない場所に設定します
異径の重ね継手になっている位置というのは、「径が小さい鉄筋でも構造上耐えることが確認できた位置」なので、継手の長さの基準も径が小さい方で大丈夫ということです。
径の異なる重ね継手の場合は、 小さい径の鉄筋に合わせれば良いということが JASS 5 や建築基準法では明記されています。
その根拠となる資料を3つ紹介します。
(2) 直径の異なる鉄筋相互の重ね継手の長さは, 細い方のdによる.
鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説第5版 日本建築学会
5.9.5 鉄筋の定着および継手
建築工事標準仕様書・同解説 JASS5 鉄筋コンクリート工事
注径の異なる鉄筋の重ね継手長さは、 細い方のdを用いる
2 主筋又は耐力壁の鉄筋(以下この項において 「主筋等」という。) の継手の重ね長さは、継手を構造部材における引張力の最も小さい部分に設ける場合にあつては、 主筋等の径 ( 径の異なる主筋等をつなぐ場合にあつては、細い主筋等の径。
「建築基準法施行令』 第73条 鉄筋の継手および定着
建築ではこの3つの基準を根拠として、異径の重ね継手の場合は細い方の鉄筋径を基準にラップ長を決めています。
なお、米国の基準である ACI(アメリカ・コンクリート協会) 318 では、柱のような圧縮を受ける場合、次の規定があります。
「異なる直径の鉄筋を圧縮部材で重ね継ぎ手を行う場合、重ね継ぎ手長さは太い方の鉄筋の定着長または細い方の鉄筋の重ね継手長さのうち大きい方とする」
※ACI(アメリカ・コンクリート協会) 318
この場合は、太い方の定着長になってしまいますが、日本ではこの基準に準じることはほとんどありません。
余談程度に覚えてもらえればOKかと。
設計図書に準じながらも、根拠はしっかりと理解しましょう
重ね継手の基準長さ (ラップ長) って何で決まっているんですか?
土木の場合は、土木学会コンクリート標準仕様書や道路橋示方書で定められています
鉄筋の重ね継手の応力伝達機構は、定着部と似た挙動を示します。
重ね継手は、鉄筋と継手部周囲のコンクリートとの付着を利用して一方の鉄筋の力が継ぐ方の鉄筋へと伝達される継手です。
実際は、フックの有無により多少異なります
そのため、重ね合わせ長さは基本定着長さに基づき算出されます。
定着長さは、以下の3つの要素で決まります。
付着強度
鉄筋の強度
鉄筋径(直径)
の3つです。
土木学会コンクリート標準示方書で定められた式は以下のとおりです。
鉄筋の定着長さ ld = fyd / ( 4×fbod)
Id : 付着強度より算出する重ね継手長(mm)
fyd: 鉄筋の設計引張降伏強度(N/m㎡²)
fbod: コンクリートの許容付着応力度 (N/m㎡)
① : 鉄筋の直径 (mm)
この式で算出した値か、鉄筋の直径の20倍以上重ね合わせます。
さらに詳しい内容については、[重ね継手の必要長さ(ラップ長)や計算方法を解説]で解説しています。
✅重ね継手の継手長さや基準について解説
土木工事の鉄筋コンクリート構造物において必須の重ね継手について詳しく解説しています。
RC構造物にとって、鉄筋は構造物の荷重を受け持つ重要な役割を担う部材です。
母材の鉄筋の強度は設計により求められますが、母材より先に継手が破壊することがないように継手を設計します。
しかし、弱点になる可能性がある継手の位置は、ズラすのが基本です。
そのため、鉄筋の継手の位置は千鳥に配置するのが基本であり、継手位置を一か所に集中させる 「いも継手」は避けるべきとされています。
継手で避けるべき”いも継手”については[ 『いも継手』とは!?鉄筋の重ね継手の基準について元ゼネコンマンが徹底解説 ]で詳しく解説しています。
✅いも継手のルールを解説
関連記事 『いも継手』とは!?鉄筋の重ね継手の基準について元ゼネコンマンが徹底解説
異なる径の鉄筋を重ね継手で継いだ場合の長さについて解説しました。
基本的には設計図書に従えば大丈夫ですが、根拠をしっかりと理解しておくことで、現場で発注者の方から質問されてもビシッと答えることができます。
・鉄筋コンクリート造配筋指、建築工事標準仕様書では、異径の重ね継手の場合径に合わせた継手長と定められている
・異径の重ね継手になっている位置というのは、径が小さい鉄筋で構造上耐えることが確認できた位置
・土木工事の場合、継手長さは「付着強度」「鉄筋の強度」「鉄筋径(直径)」の3つの要素で決る
この記事が気に入ったら
フォローしてね!
『つちとき』にコメントする