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ぜねた
元ゼネコンマン/1級土木施工管理技士
元準大手ゼネコン勤務の土木技術者。
一級土木施工管理技士。
ゼネコン時代は安全を第一に
現場を走り回ってました。
現場で学んだ知識や土木に関する知識を
発信しています。
技術士の資格取得を目指して現在勉強中。
【携わった工種】
道路土工、トンネル、PC上部工、橋梁下部工事
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鉄筋って錆びても大丈夫なの?【結論:多少のサビは問題ナシ】

記事内には商品のプロモーションを含む場合があります。
学生

鉄筋って錆びていても問題ないの?

世間の声

憧れのマイホームを購入したけど、基礎の鉄筋が錆だらけ。本当に大丈夫なの?

若手技術者

工事の発注者から錆びを落とせと言われたけど、赤錆なら大丈夫ですよね?

今回の記事では、そんな不安を解消するための記事となっています。

結論から言ってしますと、鉄筋が少々錆びているくらいでは構造上は全く問題がありません。

鉄筋組立が完了するとコンクリートを流し込む(打設する) 作業を行い、鉄筋の周りをコンクートで固めます。
コンクリートが固まると、 鉄筋の周りに不導体被膜と呼ばれる膜が生成され、 鉄筋が腐食するのを防いでくれます。

なので、コンクリート中の鉄筋は簡単には腐食しないので鉄筋が錆びているように見えても構造上は問題ありません。

本文では鉄筋が錆びていても大丈夫な理由を、 元現場監督として7年間工事に携わっていた私が、 建設業界で働く人でなくてもわかるように詳しく解説していきます。

本記事の内容

・鉄筋が錆びる理由とメカニズム

・鉄筋の錆の種類

・鉄筋が錆びた場合の対応策

この記事を読めば、鉄筋コンクリートについて”素人と思われない”くらい詳しくなれますし、工事に従事されている方なら発注者に言い返せるだけの知識がつきますよ。

執筆者

執筆者
ぜねた

『つちとき』管理人|元準大手ゼネコン勤務|土木の現場監督7年|1級土木施工管理技士|書籍『仕組み図解 土木工事が一番わかる』著者

執筆者
ぜねた

『つちとき』管理人|元準大手ゼネコン勤務|土木の現場監督7年|1級土木施工管理技士|【経験工種類】道路土工事、トンネル、PC上工、橋梁下部工|書籍『仕組み図解 土木工事が一番わかる』出版

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当サイトでは、現場監督の抱える悩みを解消するコンテンツを用意しているので、ぜひ参考にしてみて下さい。

目次

鉄筋が錆びる理由

世間の声

鉄筋が錆びていますが構造上の欠陥にならないですか?

ぜねた

赤錆び(あかさび) 程度の錆なら大丈夫です

現場に搬入した鉄筋は防錆材などを塗布して防錆処理を行ったとしても、すぐに錆びてしまいます。

現場に携わった方ならわかると思いますが、ピカピカの鉄筋のままコンクリートの打ち込み (打設) まで行うのは、かなり難しいです。
サビサビの鉄筋は論外ですが、実際の現場では多少の錆びであれば大丈夫です。

「鉄筋が多少の錆でも問題ない」と言える理由は、以下の2つです。

問題ない理由

①多少の錆でも鉄筋とコンクリートの付着に影響ないから
②コンクリートのアルカリ性が鉄筋の腐食を防ぐから

①鉄筋とコンクリートの付着

後ほど詳しく解説しますが、鉄筋コンクリート構造物は鉄筋とコンクリートが一体となって外力に抵抗する構造物です。
その中でもコンクリートと鉄筋が一体となるために大切なのが、鉄筋とコンクリートの付着です。

大学や公的試験機関などの実験でも、「多少の錆程度であればコンクリートとしっかり付着するので、問題ない」と結論付けています。

② アルカリ性が酸化の進行を防ぐ

コンクリートの中は強アルカリ性で鉄筋の周りに不動態被膜という膜を形成します。

その膜が鉄筋の腐食を防ぐ役割を担いますので、鉄筋の錆は進行しません。

不動態被膜の形成について、さらに詳しく解説します。

錆びても大丈夫な理由(不導体被膜)

コンクリート中は強アルカリ

コンクリートの内部は強アルカリ性でありpHは12~13 程度といった環境です。
鉄筋の不動態皮膜ができるのに、十分な強アルカリであると言えます。

この不動態皮膜の厚さは20~60À (“オングストローム”=10-10m) と非常に薄い膜で非常に緻密な被膜でありながら、 外部との電子のやり取りを遮断できて、鉄筋の腐食を防いでくれるのです。

鉄筋の腐食は鉄筋を陽極とした化学反応で発生しますが、詳しい解説は後ほど行います。

ぜねた

今は鉄筋の多少の錆程度では、 不動態被膜が形成されるから鉄筋は腐食していかないと覚えてもらえばいいと思います



土木学会が発行する『コンクリート標準示方書』でも、以下のとおり記載されています。

鉄筋は、組み立てる前に、 清掃し、浮き錆等、鉄筋とコンクリートとの付着を害する恐れのあるものを取り除かなければならない

『コンクリート標準示方書』2012年 施工編 P136

というように、除去すべきなのは”浮き錆”に限定されていて、 多少の錆は許容されています。

また建築でも同様に、国土交通省の書籍『建築工事監理指針』で、以下のとおり記載されています。

錆のうち、 浮いていない赤さび程度のものについては、コンクリートの付着を阻害することがないので、無理にこれを落とす必要はない

「建築工事監理指針」
ぜねた

もちろん、鉄筋の断面積が減っているような腐食を生じている錆などは論外です

すぐに是正してもらいましょう。

鉄筋が錆びる理由

ここまで鉄筋が多少錆びても大丈夫な理由を解説してきましたが、

世間の声

「本当に根拠とかあるの?」

と心配になる方もいると思うので、根拠となる論文を紹介させていただきます。

「(論文)外気中における鉄筋の発錆量について』
https://data.jci-net.or.jp/data_pdf/20/020-01-2143.pdf

鉄筋を外気中に曝露 (曝露期間を変えたものをいくつか用意)させ、供試体を作成。
そのあと、鉄筋の発生状況に応じてさまざまな試験を行い、鉄筋の曝露期間が変化するとどのように結果が変化するのかまとめた論文です。

使用した鉄筋 SD295A 13mm 鉄筋の引張試験の結果が以下のとおりです。

打設後30日

種類暴露日数
鉄筋⑤暴露なし

打設後180日

種類暴露日数
鉄筋①暴露なし
鉄筋②0.5ヶ月暴露
鉄筋③1ヶ月暴露
鉄筋④2ヶ月暴露
鉄筋⑤3ヶ月暴露

打設後365日

種類暴露日数
鉄筋①暴露なし
鉄筋②0.5ヶ月暴露
鉄筋③1ヶ月暴露
鉄筋④2ヶ月暴露
鉄筋⑤3ヶ月暴露
ぜねた

見事に横並びの結果ですね

曝露させても期間に差はなく、鉄筋の引張強度にほとんど差はみられませんでした。

この結果からも、鉄筋が多少錆びていいても問題ないことが理解いただけたと思います。

次は、そもそも錆にはどんな種類があるのかや、 鉄筋コンクリートは何ぞや、という部分を詳しくしていきますので、鉄筋の錆についてさらに理解を深めていきたい方は読み進めていただければ幸いです。

鉄筋の錆の種類と鉄筋コンクリート構造物の前提

世間の声

鉄筋が多少なら錆びていても良い理由はわかりました

ぜねた

今一度、鯖の種類や、そもそも鉄筋コンクリートの前提について理解を深めていきましよう

鉄筋が多少錆びても問題ない理由を解説しましたが、ここでは理解を深めるために錆とはどんなものかと、 そもそも鉄筋コンクリートの前提となる部分を解説していきます。

後輩や発注者の方に、「説明できる自信がないな」という方はぜひ確認してください。

鉄筋の錆と付着物

錆とは金属が腐食することによって作られる腐食生成物で、 その種類は色も成分も様々な種類があります。

例えば、色だけでも「赤錆」「黒鯖」「白鯖」「緑錆」「茶錆」「青鯖」「黄錆」など様々な色があり、成分や種類は生成する金属によって異なります。

ここで改めて一度、錆について解説したいと思います。

赤錆

鉄、鉄鋼、銅、銅合金で見られる錆。 赤色というよりは、赤褐色のもののが一般的です。 一般的な炭素鋼であれば、 赤錆は水酸化第二鉄やオキシ水酸化鉄、酸化第二鉄といった成分です。

鉄鋼材料に発生する赤錆は材料を少しずつ侵食していき、そのまま進行すると材料を劣化させ、やがてはボロボロにしてしまいます。

実際に、コンクリート標準示方書などでも記載されていますが、 実際に現場で問題になるのは浮き錆より、その他の付着物。

泥などの汚れや、型枠の剥離材などです。

ぜねた

靴の底についた泥の汚れをしっかりと落としましょう。

2つめが、 型枠の剥離材です。

コンクリートと鉄筋の付着が大切なコンクリート構造物において、 鉄筋に付着を妨げる剥離剤がついてしまっては構造上、 欠陥となってしまいます。

油分など、余計なものが付着した場合は打設前にしっかりと処理をしましょう。

鉄筋コンクリート構造物とは

そもそも、鉄筋というのは引張に強く圧縮に弱い建設資材です。

コンクリートと鉄筋は一体となることで外力に抵抗するのですが、 引張に弱いコンクリートの弱点を鉄筋が補う構造になります。
一体となって外力に抵抗する前提となるのが、鉄筋とコンクリートの付着です。

ぜねた

鉄筋が腐食してしまうと、鉄筋が膨張し付着がはがれてしまいます。

また、鉄筋の腐食が進行すると、鉄筋が細くなり鉄筋コンクリート構造物に作用する外力に耐えられなくなってしまいます。

鉄筋が錆びにより腐食する仕組み

若手技術者

錆や鉄筋コンクリートに対して理解が深まったので、どのように鉄筋は腐食していくのか知りたいです

ぜねた

コンクリート中の鉄筋は不動態被膜が破壊されると、化学反応をおこし水酸化第二鉄(Fe(OH)2) を形成し体積が 2.5倍に膨張します

鉄筋の腐食は、コンクリート中の鉄筋を覆う不動態被膜と呼ばれる膜が消失することで鉄筋の腐食が発生します。

鉄筋の腐食がおきるということは、 鉄筋を陽極とした化学反応が発生しているということです。

化学反応について詳しく解説すると、鉄筋がイオン化するアノード反応 (酸化反応) と酸素が還元するカソード反応 (還元反応)で腐食電池を形成します。

少し専門的な話になりますが、ぜひ最後まで読んで理解を深めてください。

アノード部とカソード部

鉄筋腐食は以下のような化学反応式で表現できます。

鉄筋の腐食反応

アノード反応 : Fe→Fe2+ +2e-
カソード反応 : H2O + 1/2O2 +2eー→2OHー

アノード反応 : Fe→Fe2+ +2e- 
カソード反応 : H2O + 1/2O2 +2eー→2OHー

鉄筋がイオン化して電子を放出する側 (陰極部) 反応のことをアノード反応 (酸化反応)。
逆に、電子を提供される側 (陽極部) の反応をカソード反応 (還元反応) と呼びます。

上述したアノード反応とカソード反応が組み合わさることで、 腐食生成物となる水酸化第一鉄 Fe(OH)2 が生成します。

腐食電流

このように鉄筋の表面で化学反応が起き、「アノード部で電子が放出され、 カソード部で電子が受け取られる」という電子の流れができます。

電子の流れが作られることで回路が作られ、鉄筋に電流が流れます。
アノード部で腐食生成物が作成されることで鉄筋が腐食していくという流れです。

鉄筋の腐食メカニズムについて理解できたでしょうか?
なかなか専門的な話でしたが、 理解が深まれば幸いです。

鉄筋の腐食メカニズムが理解できたところで、次に鉄筋の錆をどうのように防げばいいのかを解説します。

鉄筋の防錆処理

若手技術者

鉄筋って錆びなくなる工夫は何かしているんですか?

ぜねた

工事現場ではもちろん、錆びなくなる対策(防錆処理)をしています。

コンクリートの寿命は、鉄筋が左右していると言っても過言ではありません。

鉄筋コンクリート構造物の寿命を長くもたせるには「如何に鉄筋を錆びさせずに腐食から守るのか」 が大切です。

鉄筋の錆を防いで高品質なコンクリート構造物を構築するために、私が現場でやっていたことを紹介します。

鉄筋搬入時

搬入時の鉄筋には防錆剤を塗布

現場に搬入した鉄筋は防錆剤を散布してから保管し組立を行うのが一般的です。
所定量の防錆剤をハケやスプレーなどで現場に搬入した鉄筋に塗布します。

コンクリートの打込みは、塗布した防錆剤を除去することなくそのままの状態で行うのが一般的です。

ぜねた

特に曲げた部分は錆びやすいの注意しましょう

サビラーズ

製品の違いについては安かろう悪かろうという部分があり、今までいろんな防錆剤を使用しましたが、高価な防錆材の方が効果は高かったです。

現場は工場とは異なり、 現場に搬入した鉄筋は屋外に仮置きします。

材料搬入の写真を撮影した後は、ブルーシートで雨風が直接当たらないように養生するのが一般的です。

鉄筋組立時から打設前まで

鉄筋組み立てが始まったら、 鉄筋は曝露環境下に置かれてしまうので、極力早く打設までもっていくしかありません。

ぜねた

シートを被せることで少しは露出を防ぐことができますがほとんど効果は期待できません

とはいえ、配筋を完了してから打設を行う前に配筋検査を行うので、極力きれいな状況を保つ必要があります。

若手技術者

発注者によっては 「赤錆びもキレイに掃除にしろ」 と言ってくる人もいるんですよね・・・

そんなときに便利なのが「ラスクリア」という商品です。

ラスクリア

霧吹きでシュシュッと吹き付けるだけで簡単なのにピカピカになります。
検査前に吹き付けて、見栄えのいい写真を撮れるように努力をしました。

ぜねた

これは、マジで凄い商品です!!!

もちろん、浮きサビのようなものはコンクリートとの付着を害するので、ワイヤブラシなどで除去する必要があります。

鉄筋って錆ても大丈夫なの?【まとめ】

鉄筋が錆びていても大丈夫な理由【まとめ】

・鉄筋が赤錆くらいであれば、コンクリートとの付着に影響はなく、コンクリートとのアルカリ性が鉄筋の腐食を防ぐ

・鉄筋の腐食する仕組みは、アノード反応とカソード反応が組み合わさることで、 腐食生成物となる水酸化第一鉄 Fe(OH)2 が生成されること

・「ラスクリア」という商品は、検査用に効果抜群!

以上、鉄筋が錆びても大丈夫なのか、錆びても大丈夫な理由について解説しました。

ぜねた
管理人
元準大手ゼネコン勤務の土木技術者。一級土木施工管理技士
ゼネコン時代は安全を第一に現場を走り回ってました。
【携わった工種】
道路土工、トンネル、PC上部工、橋梁下部工事

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