\ 公式LINE登録は完全無料 /
今すぐお友達になる公式LINE限定で、土木施工管理技士試験対策のプレミアム記事を公開中
タックコートの施工って、言葉だけではなかなか作業のイメージがしずらいですよね。言葉の意味が分かっても”どのように施工するのかわからない”と、「段取り」もできないし、”管理”なんてもってのほかです。
そこで、本記事ではタックコートについて作業内容が理解しやすいように、動画や図解を交えて、わかりやすく解説します。
論文や『舗装施工便覧』などの書籍を参考に、舗装の工事を 12 件以上経験した私の実体験に基づく情報など、本記事にしか書かれていない独自の情報も含んでいるので、タックコートの理解を深めるために、ぜひ本記事をご活用いただけると幸いです。
読了後は、「タックコートの施工について不安に感じる」ことはなくなるので、ぜひ最後まで読んでください。
・タックコートの使用材料、施工方法
・タックコートとプライムコートの違い
・タックコート施工上の注意点
『つちとき』管理人|元準大手ゼネコン勤務|土木の現場監督7年|1級土木施工管理技士|書籍『仕組み図解 土木工事が一番わかる』著者
『つちとき』管理人|元準大手ゼネコン勤務|土木の現場監督7年|1級土木施工管理技士|【経験工種類】道路土工事、トンネル、PC上工、橋梁下部工|書籍『仕組み図解 土木工事が一番わかる』出版
サイトの運営者ぜねたの詳しいプロフィールは、コチラです。
なお、YouTubeでも土木工学や土木施工管理技士に関する情報を発信しています。
YouTube
現場で11年間働いて身につけた最新のノウハウを動画で公開中
当サイトでは、現場監督の抱える悩みを解消するコンテンツを用意しているので、ぜひ参考にしてみて下さい。
土木施工管理技士の
試験を受ける方へ!
\ 公式LINEでプレミアム記事が読める /
タックコートってどんな作業ですか?
瀝青安定処理路盤や基層、中間層の上に施工するコーティングの一種です
タックコートは、瀝青安定処理工法や基層、中間層の上にアスファルト乳剤を散布する作業です。
アスファルト混合物同士の接着を目的として、PK-4 又は PKR-T と呼ばれるアスファルト乳剤を所定の量、散布します。
タックコートとよく似た作業にプライムコートがあります。
違いをわかりやすく一覧にまとめました。
プライムコート | タックコート | |
---|---|---|
使用材料 | PK-3 | PK-4 |
散布量 | 1.0〜2.0ℓ/㎡ | 0.3〜0.6ℓ/㎡ |
施工箇所 | 路盤(安定処理を除く以外)施工後に乳剤を散布する | アスファルトや瀝青安定処理路盤、中間層、基層、構造物との接着箇所 |
施工方法 | ・機械施工 ・人力施工 | ・機械施工 ・人力施工 |
施工時期 | 路盤の構築後、速やかに | 特に記載なし |
施工の目的 | ・降雨による路盤の洗掘、表面水の浸透を防止 ・路盤から水分の毛細血管を遮断 ・路盤とその上に施工するアスファルト混合物とのなじみをよくする | 敷設する混合物とその下層との付着、および継ぎ目部の付着を良くする |
違いについて、詳しく解説していきます。
まず大きな違いは、使用する材料です。
どちらも一般的に、アスファルト乳剤を散布します。
プライムコート:PK-3
タックコート:PK-4
PK-3 PK-4 どちらも同じカチオン系のアスファルト乳剤です。
項目 | PK-3 | PK-4 | |
---|---|---|---|
蒸発残留物 | 針入度[1/10mm] | 100を超える300以下 | 100を超える150以下 |
トルエン可溶分[%] | 98以上 | ||
主な用途 | プライムコート用および セメント安定処理層養生用 | タックコート用 |
違いとしては、蒸発残留物における針入度 (25℃) の上限がPK-3は300で、PK-4は150です。
針入度は、アスファルトなどの硬さを表わす数値。
標準条件 (温度25℃、 荷重100g、貫入時間5秒)において、針が材料中に垂直に貫入したときの探さを 1/10mm 単位で表わします。 針入度が大きい試料ほど軟らかいといえます。
つぎに、施工箇所です。
プライムコートは、路盤 (瀝青安定処理路盤以外) 上に、施工を行います。
それ以外の場所は、タックコートです。
具体的には、「瀝青安定処理路盤」「中間層」「基層」「表層間の継目」と「側面」といった箇所になります。
そして、プライムコートとタックコートでは、散布量が違います。
散布量
プライムコート : 1.0~2.0ℓ/m² (標準 1.2ℓ/㎡)
タックコート:0.3~0.6ℓ/m² (標準 0.4ℓ/㎡)
タックコートはプライムコートに比べて半分以下の散布量です。
散布量が少ないことから、ムラができやすいといった施工上の注意点があるので、 対策を含めて後ほど詳しく解説します。
なぜタックコートを施工するのですか?
一番の目的は、アスファルトコンクリート層及び瀝青材同士の付着です
アスファルト舗装の施工において一般的には、平坦性を確保し密度を均一にするために、アスファルト舗装における表・ 基層がいくつもの層に分けて舗設されています。
さらに、表層の施工においては、一度に施工することで打ち継目を少なくするために、基層の施工後、数日から数週間後の施工を行っているのが実際のところです。
そのため、時間の経過により土砂やほこりといった異物が付着する可能性が大きいです。
そこで、汚れによる影響を小さくし、層同士の付着を良くしてアスファルトを一体化させるために、アスファルト乳剤によるタックコートが施工されます。
実際に、タックコートの有無による付着力の違いは、「アスファルトコンクリートの層間付着におけるタックコートの効果」という論文で詳しく解説されています。
アスファルト舗装における基層と表層の層間付着力を、”タックコートのあるなし”でどれだけの効果があるのかの調査結果が示された論文です。
層間の付着力について、「タックコート」「ホットジョイント」「コールドジョイント」「1層」の4つの場合で、試験時の温度を5℃、20℃、40℃でデータをとって、せん断強度がどのように変化するのか比較をしています。
条件
タックコート:1層目が常温まで低下した後にPK-4 (0.4/m2) を塗布し、24時間経過後に2層目を施工
ホットジョイント:1層目の表層温度が60℃に低下した時点で2層目を打ち継ぐ
コールドジョイント:1層目の温度が常温まで低下した後に、2層目をそのまま施工
1:1層、 H:ホットジョイント、C:コールドジョイント、 T:タックコート
その結果、 試験温度が0℃の時には大差がありませんが、試験時の温度が40℃の時には、コールドジョイントの強度が著しく低下しました。
実際、夏場のような高温時になる日本の環境下では、タックコートを施工する効果は高いと言えます。
タックコートってどうやって施工するんですか?
タックコートは、 「人力施工」 と 「機械施工」の2種類です
アスファルト乳剤は、所定の乳剤を適切な量を散布することで、要求性能を満たすことができます。
そのため、ここでは「使用材料」「散布量」「養生」 など、タックコートの施工に関して詳しく解説します。
プライムコートとタックコートの施工は、 機械施工と人力施工の2種類です。
散布方法
機械施工
人力施工
機械を使って散布する方法は、ディストリビュータと呼ばれる機械を用いて施工します。
逆に、機械が塗りにくい場所は、人力により散布を行います。
人力による散布は、機械散布に比べて、均一性は劣りますが、取り回しが簡単で狭い場所などに適した施工方法です。
エンジンスプレーヤーといった道具を用いて、散布をおこないます。
タックコートに使用する材料は、アスファルト乳剤 PK-4が一般的です。
以下の品質に合格する乳剤を使用しましょう。
項目 | PK-4 | |
---|---|---|
エングラー度(25℃) | 1〜6 | |
ふるい残留率(1.18mm)[%] | 0.3以下 | |
付着度 | 2/3以上 | |
粒子の電荷 | 陽(+) | |
蒸発残留分[%] | 50以上 | |
蒸発残留物 | 針入度[1/10mm] | 100を超え150以下 |
トルエン可溶分[%] | 98以上 | |
貯蔵安定度(24時間)[%] | 1以下 | |
主な用途 | タックコート用 |
実際に、アスファルト舗装工事標準仕様書では、タックコート用瀝青材料には、PK-4のアスファルト乳剤を一般的に用いるといった内容が記載されています。
タックコート用瀝青材料には、一般に石油アスファルト乳剤 PK-4 が使用される
『アスファルト舗装工事標準仕様書』P92
タックコートの施工は、ただ乳剤を散布するだけでなく、所定の性能を発揮させるためには散布量が大切です。
一般的には、
タックコート: 標準 0.4/m2(0.3~0.6/m2)
を散布します。
タックコートに、アスファルト乳剤 (PK-4)を用いる場合の散布量は一般に 0.4ℓ/m2が標準である。
『アスファルト舗装工事標準仕様書』 P93
実際に工事現場では、散布量の試験を行うことで、所定の量が散布されているかどうかを確認をします。
試験というほど大々的なものではなく、マットを敷いて散布前後で、マットの重さを測る程度です
乳剤散布量の試験については、[乳剤散布量の試験について計算方法や施工方法を解説【計算例アリ】]で詳しく解説しています。
タックコートを施工した後には、養生が必要です。
アスファルト乳剤は、ストレートアスファルトを微細な粒子にして、乳化剤と安定剤を混入した水中に分散させたもので、水分が蒸発した後にアスファルトとしての性質を発揮します。
そのため、水分を一散させるための養生時間が必要です。
実際に、『空港アスファルト舗装の新しいタックコートの開発 (1996年)』(港湾技研資料)によると、 PK-4 の乳剤内の水分が完全に蒸発するまでの時間は昼間で1時間、夜間で6時間必要とされています。
性能を発揮させるためには、水分を一散させ、分離させる時間が必要なので注意しましょう。
瀝青材料同士の層間接着力を高めるために、タックコートの施工を行いますが、タックコートの施工が不要な場合があります。
加熱アスファルト混合物を、下層のアスファルトの温度が下がりきらないうちに、2層又は3層と引き続き施工する場合は、タックコートは不要です。
理由としては、温度が冷め切らない状態で上層の施工を行うと、タックコートを施工しなくても接着力が発揮されるから。
実際に、『アスファルトコンクリートの層間付着におけるタックコートの効果 (1997年)』(運輸省 港湾技術研究所)の論文で、温度が低下していない状態で上層を施工した場合、 せん断強度の低下がほとんどないことが示されています。
1層目の舗装温度が60℃に低下した時点で2層目を打ち継いだ場合 (ホットジョイント)と、タックコートの施工を行った場合、付着力の差がほとんどありません。
例えば、1日で基層(再生密粒度アスファルト混合物) と表層 (再生密粒度アスファルト混合物)の施工を行う場合です。
こういった場合は、タックコートの施工は不要となるので注意してください。
タックコートに関してよくある質問をまとめました。
タックコートは舗設する予定の混合物層と、その下層の瀝青安定処理層、中間層及び基層と付着および継目部の付着を良くするために、通常、アスファルト乳剤 (PK-4) を所定量散布する作業をいいます。
プライムコートはアスファルト層 (表層又は基層)と上層路盤路盤(瀝青安定処理路盤以外)のなじみを良くすることを第一の目的として、路盤の安定性向上、降雨による洗堀防止、路盤の水分一散の防止を目的として、アスファルト乳剤 (PK-3) を散布します。
一方、タックコートは、アスファルト層同士の付着力向上を目的に、アスファルト乳剤 (PK-4) の散布を行います。
タックコートは、一般に 0.3~0.6L/m2 (標準 0.4L/m2) が標準の散布量です。散布量試験により散布量を確認します。
PK-4 の乳剤内の水分が完全に蒸発するまでの時間は昼間で1時間、夜間で6時間必要です。
「急速施工の場合には加温して施工する」「所定の散布量を2回に分けて施工する」方法といった方法があります。
タックコートの養生用に砂を撒いてはいけません。 アスファルト層同士の付着を妨げる異物となってしまいます。
以上、タックコートについて解説しました。
・タックコートは瀝青安定処理工法や基層、中間層の上にアスファルト乳剤を散布する作業
・プライムコートとタックコートの施工は「機械施工」「人力施工」の2種類
・タックコートの散布量は一般に 0.3~0.6L/m2 (標準 0.4L/m2) が標準
・タックコート(PK-4)の乳剤内の水分が完全に蒸発するまでの時間は昼間で1時間、夜間で6時間
この記事が気に入ったら
フォローしてね!