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ぜねた
元ゼネコンマン/1級土木施工管理技士
元準大手ゼネコン勤務の土木技術者。
一級土木施工管理技士。
ゼネコン時代は安全を第一に
現場を走り回ってました。
現場で学んだ知識や土木に関する知識を
発信しています。
技術士の資格取得を目指して現在勉強中。
【携わった工種】
道路土工、トンネル、PC上部工、橋梁下部工事
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公共工事と民間工事の違いを建設業界11年の土木技術者が徹底解説!

記事内には商品のプロモーションを含む場合があります。
若手技術者

公共工事って何ですか?

ぜねた

官公庁が発注する工事で税金を財源として行われる工事です

若手技術者

民間工事って何ですか?

ぜねた

民間企業が発注する工事で、公共工事以外はすべて民間工事です

・公共工事ってどんな工事でどんな特徴があるの?
・民間工事ってどんな工事でどんな特徴があるの?
・公共工事と民間工事の違い?

こんな悩みを解決します。

本記事の内容

公共工事と民間工事の特徴と概要

公共工事と民間工事の違い

公共工事と民間工事の発注までの流れ

これを読み終えれば、公共工事と民間工事の違いや発注までの流れが理解できます。

執筆者

執筆者
ぜねた

『つちとき』管理人|元準大手ゼネコン勤務|土木の現場監督7年|1級土木施工管理技士|書籍『仕組み図解 土木工事が一番わかる』著者

執筆者
ぜねた

『つちとき』管理人|元準大手ゼネコン勤務|土木の現場監督7年|1級土木施工管理技士|【経験工種類】道路土工事、トンネル、PC上工、橋梁下部工|書籍『仕組み図解 土木工事が一番わかる』出版

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当サイトでは、建設業界について知っておくべき知識や、現場監督の抱える悩みを解消するコンテンツを用意しているので、ぜひ参考にしてみて下さい。

目次

公共工事とは!?

若手技術者

公共工事とは何ですか?

ぜねた

国や都道府県、市町村が税金を財源として発注する工事です

公共工事という言葉は、『公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律』 (入契法) 第2条第2項に定義されています。

国、特殊法人等又は地方公共団体が発注する建設工事をいう。
公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律 (品確法) 第2条第2項

公共工事とは、国や都道府県等の地方公共団体が発注する工事であり、税金を財源とする工事のこと。

ぜねた

建設業界で働く人は必ず知っておくべき言葉と言えます

公共工事は、 住環境の向上を目的として住民の生活を支えるインフラ設備を整える工事で、道路や、ダム、下水道など、公共性の高い構造物を作る工事です。

公共工事の特徴

公共工事も 「土木工事」 「建築工事」 に分けることができますが、 公共工事の中心は“土木工事”です。

国が発表しているデータで、明確な根拠が示されています。
国土交通省 『建設投資見通し』 の令和3年度のデータによると、 建設投資の内訳は公共工事 22.8兆円のうち、 土木の工事が17.0兆円 (約75%) です。

この図で言うところの左下の部分です。

具体的な公共工事の例は以下のとおりです.

・ダム建設工事
・道路補修工事
・市民会館、 建設工事

他にも国道や都道府県道の建設工事などで、トンネルの建設や橋梁の建設なども含めます。
公共工事は法律に則り工事が進められるため、必要な書類が多く事務作業に多くの時間が必要です。

また高い品質が要求されるので、 会社として実績や技術力が求められます。

ぜねた

必要な書類が多く厳しい工事です

公共工事を受注するメリット

建設会社が公共工事を受注するメリットは大きく2つです。

・工事の規模が大きい
・景気に左右されにくい
・工事を受注することで社会的信用を得られる

まず一つ目の理由が、公共工事はどれも規模が大きいということ。

市町村の発注する工事は道路の補修工事でも 1,000 万円をこえる工事がほとんどで、中には1億円を超える場合もあります。
国土交通省の工事になると、10億円を超えるような工事もあり規模が大きいです。

ちなみに、関東地方整備局発注の分任官工事では、約 3.5億円が上限と規模の大きな工事がどんどん発注されます。

なお、 分任官工事については、[ 分任官工事とは!?金額や本官工事との違いをわかりやすく解説!]で詳しく解説しています。

次に、公共工事は景気の波に左右されないため、安定して仕事を受注できるというメリットがあります。
民間の工事は景気不景気が左右しますが、 官公庁の場合はそんな心配は不要です。

また、公共工事を受注することで社会的な信用を得ることができます。
実際に、公共工事を受注するためには、それなりの実績や技術力を有している必要があります。

そのため、公共工事を受注し実績を重ねることで、金融機関からも信用を得ることができ、民間工事の受注にも影響します。

民間工事とは?

若手技術者

民間工事ってどんな工事ですか?

ぜねた

民間の企業が発注する工事で、官公庁が発注する公共工事以外はすべて民間工事です

民間工事とは個人や企業が請負業者となり資金調達なをおこなうことで、民間企業の資金を財源として発注される工事のことであり、 公共工事以外は全て民間工事です。

民間工事で建設される構造物は、ビルや商業施設 福祉施設、 開発行為により行われる大規模な造成や擁壁も当てはまります。
民間工事は公共工事とは異なりますが、 適正な品質の確保は同じように要求され、 安全な構造物を企業や個人に提供することを目的に実施される工事です。

民間工事の特徴

土木が中心の公共工事とは異なり、 民間工事は建築が中心です。
国土交通省 「建設投資見通し」 の令和3年度のデータによると、 建設投資の内訳は民間工事35.6兆円のうち、 建築の工事が 30.0兆円 (約84%)です。

ぜねた

ちなみに、民間の土木工事は5.5兆円です

代表的な民間工事は以下のとおりです。

・マンションの建設
・ショッピングモールの建設
・鉄道工事
・ガス管敷設工事

建築の工事は、マンションなどの住居と、商業施設などの非住居に分けられます。

また、土木の工事は鉄道工事やガス管の敷設工事のような半ば公共工事のような工事が多いです。
公共性の滝構造物でも、発注者が民間企業であれば民間工事になります。

なお、民間工事を受注している会社で働いている方に質問ですが、社会保険には加入していますか?
まさか、国民健康保険じゃないですよね?
基本的に、従業員が五人以上であれば社会保険の加入は義務です。

さらに詳しい解説は[公共事業において社会保険は必須!偽装請負は違法です!!]の記事で詳しく解説しています。

公共工事と民間工事の違い

若手技術者

公共工事と民間工事ってどんな違いがあるんですか?

ぜねた

発注者が異なるので、資金の調達方法や、工事書類の書類など同じ工事でも全く異なります。

公共工事と民間工事の違いは 「発注者の違い」です。
公共工事は国や都道府県、市町村などの公共団体が発注者となり、民間工事は民間企業が発注した工事を指します。

そのため、 発注者が異なることで様々な違いがあります。

・資金源
・発注までの流れ
・工事書類

といった違いがあります。

それぞれ詳しく解説します。

資金の調達〜工事発注まで

公共工事には税金が用いられますが、 民間工事は民間の企業が資金を捻出して工事を行います。

ぜねた

さらに、民間工事の場合、 銀行による融資などの方法で資金を調達する場合があります

民間工事の場合、見積もりなどを行い工事の金額を決めますが、公共工事は税金で行われるため、 設計・積算を行い入札して工事の受注者を決定します。

また、 建設工事の発注における流れも公共事業と民間事業で異なります。

公共工事の場合、 まず工事を発注する官庁が工事の公告を行い、業者へ発注する公共工事を公開します。
その後、入札を行い官庁が落札業者を選定します。

ぜねた

民間の建設プロジェクトの場合、通常、受注予定業者と発注業者の間で交渉が行われます

大規模なプロジェクトの場合は、期間が長期にわたるため、このプロセスに複雑な契約が含まれることもあります。

工事関係書類の違い

工事を行うにあたっては、 契約書や 工程書、施工契約書など多種の書類が作成・管理されます。

公共工事は法律に則り、工事の関係書類が多いという特徴があります。

近年では無駄な書類は削減しようという流れはありますが、 まだまだ書類の作成には時間がかかります。

ぜねた

約 6~7年前とあるニュースでは、 “4m の工事書類を 1m に削減”という記事が取り上げられたほどです

公共工事で作成する工事関係書類を作成時期ごとに代表的な書類をまとめました。
※発注する自治体によって異なります

以下のとおりです。

工事着手前
・工事請負契約書
・現場代理人等通知書
・工程表
・施工計画書
・施工体制台帳
・材料承諾願

施工中
・段階確認書
・確認・立会依頼書
・休日・夜間作業届
・請負工事既済部分檢查請求書
・協議書

工事完成時
・完成通知書
・工事写真
・出来形管理図表
・品質管理図表

といった書類を作成します。

公共工事発注までの流れ

若手技術者

公共工事ってどんな流れで進んでいくんですか?

ぜねた

企画されてからは注されて契約までの流れを解説します

公共工事の発注までの大まかな流れは、 「企画→基本設計→詳細設計→積算→公告 入札」となります。

それぞれ詳しく解説します。

企画~積算を行う

行政機関が定める基本方針に従い予算を確保し、工事の企画を立案します。

次にその企画をさらに具体化して図面化しいく作業を、基本設計と呼びます。

基本設計

発注者が定める諸条件を前提として、各種関係法令に基づき、基本的な内容を図面化していく作業

基本設計が完成したら、詳細設計としてさらに精度の高い設計書を作っていきます。

その後は、 設計図書を元に積算を行い、工事の予定価格を算出します。

積算を行うにあたっては、工事現場の諸条件から工事の施工計画を定める必要があります。

なお、『公共工事積算学』では積算の過程を以下のとおり紹介されています。

積算と言う過程は大きく2つに分けられる。
一つは、 施工計画の立案といわれるもので、これは事前の調査などにより把握された自然条件、社会的条件を考慮しつつ、工区の設定、 施工手順、安全対策等の検討を行うものである。
もう一つ請負工事費の算定であり、これは施工計画に基づき施工を行うために必要な資材、機械などの所要量や必要な工期の把握およびこれに基づく工事費の算定である。

(株) 山海堂 「公共工事積算学』 P22

余談ですが、この書籍はこれから工事に携わって生きていくなら、必読の書籍です。

ぜねた

ぜひ一読しておくことをオススメします

設計図書が完成し、工期や工事予定価格の算出が終われば、次は公告を行います。

工事の公告~入札〜契約

「予算決算及び会計令(予決令)」で定められた条件に従い、 官公庁などの期間が入札の発注情報を公開することを公告と言います。

公告する場所は 「官報、 新聞紙、 刑事その他の方法で公告する」 となっていますが、近年では、WEB サイトに掲載するのが一般的です。

ちなみに、工事を受注したい業者は事前に省庁や都道府県、市町村ごとに入札資格を取得する必要があります。

市長村では、1年に1度、 申請の受付が行われ、国や都道府県の場合は1年中入札の参加申請を受け付けている場合が多いです。

会計法によると入札・契約方式は、一般競争入札および指名競争競争入札の2種類が基本です

随意契約は、 災害時など特殊な場合に用いられる契約方式です。

一般競争

契約にあたり公告を行い、不特定多数の業者を競争に参加させ、その中から発注者が求める一番有利な条件で申し込みをした相手と契約を行う

指名競争

発注者が定めた業者の中から、発注者が求める一番有利な条件で申し込みをした相手と契約を行う

随意契約

発注者が特定の業者を選定して、協議を行ったうえで契約を行う

発注~契約を行う

入札に応じた業者の中で、発注者にとって一番いい条件を出した業者に工事を発注します。

昔は、最低価格を提示した業者が落札する、 最低価格落札方式が一般的でしたが、今では、企業の技術力や実績など、 総合的に判断する総合評価方式も採用されています。

工事を落札した業者は、 発注者と契約書を取り交わし、契約を終結します。

以上が、 公共工事を契約するまでの流れになります。

民間工事発注までの流れ

若手技術者

公共工事で契約までの流れはわかりました

ぜねた

では、次に民間工事の場合をみてみましょう

民間企業の場合、公共工事とは異なり、 発注までの流れは企業によって大きく異なります。

ここでは、国土交通省が公表している、 ある電力会社Aの発注業務の概要を紹介します。

『民間企業における建設工事の発注』

大まかには、
設計業者の選定→設計・積算→公表 →見積もり→落札者決定→契約

という流れになります。

“公共工事との違い”を見て頂けると理解が深まると思います。

設計業者を選定~設計・積算

まずは、工事を設計する業者を選定します。

ぜねた

各企業によって基準があると思いますが、 過去の実績や経験、技術、人材などを見極めて、工事の設計を行います

設計業者を決定したあとは、図面を作成し、仕様書を作成。
図面を元に工事の施工計画を立案し、工期の算定を行い積算し、工事予定価格を算出します。

公表~見積もり

工事を発注する準備ができた後は、工事の発注見通しを公表します。公表された情報をもとに、企業が工事参加の登録を行います。
登録した業者の中から、見積もりを依頼します。

ぜねた

この電力会社の場合は1~5社程度らしいです

提出された見積もりを合わせ、入札を行います。

落札者決定 ~契約

各業者から提出された見積もりを元に、価格の交渉を行い契約します。

この流れをみてわかるように、 公共工事とは異なり入札の方法など明確な基準がありません。

ぜねた

発注業者によって、流れも異なるので、要注意です

公共工事をおこなうメリット

若手技術者

公共工事を行うことでメリットがあるのはわかりますが、具体的には何ですか?

ぜねた

工事を行うことで得られる 「フロー効果」 と、 中長期的な「ストック効果」があります

インフラを整備する公共工事を行うことで、さまざまなメリットがあります。

代表的な効果は、「インフラストック効果」と「インフラフロー効果」の2つです。

インフラフロー効果

インフラフロー効果とは、公共工事を行うことで直接的な効果を生み出すことです。

代表的な効果は以下のとおりです。

インフラフロー効果
・工事を行うことで雇用が生まれる
・工事で使用する資機材の購入
・生活者が増えることによる消費活動 (食材) の増加

公共工事は大規模な工事が多く、地元の企業以外に多くの人手が必要になります。

こそで生れるのは直接的な雇用だけでなく、 人が増えることで収入を得る人が増えるため、経済活動が活発になります。

これが公共工事を行う直接的な効果で、 フロー効果とよばれます。

インフラストック効果

次に解説するのが、インフラストック効果です。

インフラストック効果
インフラが整備されることで得られる社会的効果

インフラが整備されることで、副次的に得られる恩恵がインフラストック効果です。

例えば、公共工事によって新しい道路やトンネルなどが整備されることで、物流も人の移動もスムーズになります。

物流がスムーズになることで、 新しい工場が建設されるなど生産拠点が増えて、働く場所が生まれることに繋がります。

働く場所ができることで住む人が増え、 経済活動が活性化する可能性があります。

また、住みやすさが向上することで、 住民の満足度も上がり、住む人が増える効果も期待できます。

そして、 人の移動がスムーズになることで、観光客が増えて経済活動が活発になる可能性があります。

このように、 整備されたインフラが機能することで、 中長期にわたり得られる効果をいいます。

公共と民間の工事の違い【まとめ】

公共工事と民間工事の違いについて解説しました。

公共工事と民間工事の違い【まとめ】

公共工事は国や都道府県等の地方公共団体が発注する工事であり、税金を財源とした工事

公共工事 22.8兆円のうち土木の工事が17.0兆円 (約75%) と、土木が中心

民間の企業が発注する工事で、公共工事以外の工事はすべて民間工事

民間工事35.6兆円のうち建築の工事が 30.0兆円 (約84%)と、建築がほとんど(令和3年度の資料)

公共工事を行うことで、インフラフロー効果とインフラストック効果の2つを得られることができる

公共工事と民間工事の違いが理解できたと思います。

ぜねた
管理人
元準大手ゼネコン勤務の土木技術者。一級土木施工管理技士
ゼネコン時代は安全を第一に現場を走り回ってました。
【携わった工種】
道路土工、トンネル、PC上部工、橋梁下部工事

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