\ 公式LINE登録は完全無料 /
今すぐお友達になる公式LINE限定で、土木施工管理技士試験対策のプレミアム記事を公開中
生コン車で現場まで運ぶ作業が、 コンクリートの運搬なんですよね?
コンクリートの運搬とは、製造地点から打ち込み地点まで運ぶことをいいます。
そのほかに時間が決まっていて、 外気温25℃未満の時は運搬完了まで 90分以内 25℃以上の時は60分以内です。
運搬に関する決まりってあるんですか?
・コンクリートの運搬の方法がわからない
・運搬方法にどんなきまりがあるのかがわからない
・ポンプ車の選定をすればいいのかわからない…
こんな悩みを解決します。
コンクリートの運搬方法
コンクリートの運搬することが可能な時間
コンクリートの運搬設備
この記事では、コンクリートの運搬方法や運搬可能時間、運搬方法について解説しています。
これを読み終えれば、コンクリートの打設の際にあたふたすることがなくなり、自信をもって打設を担当することができます。
執筆者
『つちとき』管理人|元準大手ゼネコン勤務|土木の現場監督7年|1級土木施工管理技士|書籍『仕組み図解 土木工事が一番わかる』著者
『つちとき』管理人|元準大手ゼネコン勤務|土木の現場監督7年|1級土木施工管理技士|【経験工種類】道路土工事、トンネル、PC上工、橋梁下部工|書籍『仕組み図解 土木工事が一番わかる』出版
当サイトの運営者ぜねたの詳しいプロフィールは、コチラです。
また、モルタルとコンクリートの違いについては、 [モルタルとコンクリートの違いとは?元ゼネコンマンが徹底解説]で詳しく解説しています。
当サイトでは、現場監督の抱える悩みを解消するコンテンツを用意しているので、ぜひ参考にしてみて下さい。
現場に到着すれば運搬は完了ですよね?
正確には、打ち込み地点まで運ぶことが運搬です。
コンクリートの運搬とは、コンクリートの製造箇所で練り混ぜを開始してから打ち込み場所まで運ぶことをいいます。
工事現場の敷地が広い場合、敷地の中ではなくあくまで打ち込み場所である”荷下ろし地点”です。
つまり、製造地点である生コン工場から、工事現場における打ち込み箇所 (ポンプ車など)までの期間が『運搬』と言います。
現場内に入れば運搬完了ではないので要注意です。
生コンは時間の経過によって、水反反応が進むことで状況は変化し硬化していきます。
時間が経過することで大きく変化するものは2つです。
・スランプ値の変化
・空気量の変化
時間が経過することで、スランプ値が低下し、柔らかさを失います。
特に暑い時期は水波反応がより促進されるため、スランプ値の低下が大きいため、遅延形の混和材を使用するのが一般的です。
また、スランプ値の変化とともに生コン中の空気量も変化します。
コンクリート中には空気量が3〜6%含まれるのが一般的で、AE剤やAE減水剤などにより、微細に空気泡を連行することでコンクリートの作業性が向上します。
時間の経過により空気量が減少することで、作業性が低下します。
生コンの運搬はアジテータ車で運搬するのが一般的です。
実際に、生コンの運搬方法はコンクリート標準示方書では以下のように定められています。
現場までの運搬は、荷下ろしが容易で、運搬中に材料分離が生じにくく、スランプや空気量等の変化が小さい方法によらなければならない。
コンクリート標準示方書 (施工編) 2012年 (P107)
ちなみに、生コンを運搬する車はミキサー車ではなくアジテータ車と言います
アジテータ車はミックス(混ぜる)ではなく、すでにプラントで混ぜられたものをアジテータ(攪拌) している車です。
なお、トラックアジテータについては[トラックアジテータとは!? 生コン車、 ミキサー車と何が違うの? という疑問にお答えします。]で詳しく解説しています。
コンクリート運搬ってどんな規定があるんですか?
JIS、土木学会、JASSで規定されています
コンクリート構造物については、製品の不具合を防ぐため、各種の規定や基準類で生コンの運搬時間や使用時間を規定しています。
・JIS(日本工業規格)
・コンクリート標準示方書(土木学会)
・JASS(日本建築学会)
それぞれ詳しく解説します。
JIS A 5308 レディーミクストコンクリートでは、 生コンの運搬車とその運搬時間について規定があります。
レディーミクストコンクリートの運搬時間6) は, 生産者が練混ぜを開始してから運搬車が荷卸し地点に到着するまでの時間とし、その時間は 1.5時間以内とする。
JIS A 5308 レディーミクストコンクリート
練り混ぜ地点から荷下ろし地点までの運搬可能時間は 1.5時間です。
次に、土木学会の発行する書籍コンクリート標準示方書について解説します。
生コンを運搬する車はミキサー車ではなくアジテータ車と言います。
練り混ぜから打ち終わりまでの時間
練り混ぜから打ち終わるまでの時間は、外気温が25℃以下の時で2時間以内、25℃を超える時で1.5時間以内を標準とする
コンクリート標準示方書 (施工編) 2012年
JISに対して、温度によって生コンの運搬時間の規定を定めています
またほぼ同じ内容ですが、建築学会の規定する書籍でも同様の内容が記載されています。
JASS5とは『建築工事標準仕様書・同解説 JASS5 鉄筋コンクリート工事』 のことで、日本建築学会が発行する建築工事の仕様書になります。
この書s系には以下の通り記載されています。
コンクリートの練り混ぜから打ち込み終了までの時間の限度は、外気温が25℃未満のときは120分、25℃以下のときは90分以上とする。多大、凝結を遅らせる対策を講じた際は(後略)
建築工事標準仕様書・同解説 JASS5 鉄筋コンクリート工事
土木学会のコンクリート標準示方書の記載内容と言い回しは異なれど、ほとんど同じ内容です。
コンクリートの運搬って何でするのですか?
生コン車で運搬してきて、 コンクリートポンプ車で打ち込むという作業方法が一番ポピュラーです。
トラックアジテータで運搬した生コンを現場では様々な方法で打設します。
現場で一般的に使用する運搬方法は下の4種類です。
運搬方法
コンクリートポンプ車
バケット
シュート
一輪車
そのほかにも、 トロッコやベルトコンベアー なども活用することもあります。
土木の現場では主にコンクリートポンプ車やバケットを使用して打設します
現場の条件に応じて最適な方法を選択することで、効率的に打設を行うことができます。
それぞれ、どんな方法なのか詳しく解説します。
コンクリートポンプ車は、汎用性が高く鉛直方向へ移させることができるので、高い場所への打ち込みも可能という特徴があります。
ポンプ車の種類としては、ピストン式とスクイーズ式の2つがあります。
ピストン式・・・コンクリートピストンを油圧のシリンダで動かすことで、コンクリート圧送する方法
スクイーズ式・・・ポンピングチューブと呼ばれる中チューブをローラーで回転させることで、コンクリートで絞り出す方法
一般的には、ピストン方式の方が圧送の力が高いです。
様々な土木構造物のコンクリート打設で使用され、小さいものはブームの長さ10mくらいのものから最大48mの車種もあります。
バケットによる打設は土木の工事で一般的に用いられる工法の一つです。
コンクリートバケットに生コンを入れ、クレーンなどの揚重機で吊り上げ打設を行います。
高層ビルの打設などでも、用いられる施工方法であり、 生コンの材料分離を抑えるのに適した方法です。
しかし、バケットによる運搬はポンプ車の打設に比べて時間がかかります。
バケットの中に長時間コンクリートを入れたままにならないように、 打設計画をしっかり立てましょう。
シュートによる打設は、縦シュートと斜めシュートがありますが、縦シュートを使うのが原則です。
なぜなら、コンクリートを水平方向に移動させると材料分離の可能性が生じます。
実際、生コンは水平方向に移動させると材料分離が生じてしまいます。
そのため、斜めシュートを用いる場合は水平: 鉛直=2:1以上の勾配をつけなくてはいけません。
一輪車による運搬は、機械や重機が設置できない狭い場所の打設に適しています。
ちなみに、一輪車は現場で「ネコ」と呼びます。
狭くて細いところで少量の生コンを打設する場合に用いられる方法です。
どうしても、機械で打てないという場合に、人海戦術で打設する方法になります。
コンクリート標準示方書では以下の通り記載されています。
手押し車やトロッコ等を用いてコンクリートを運搬すると、運搬時の振動によりコンクリートが材料分離を生じる可能性がある。 このため、運搬経路はなるだけ平な状態にし、運搬距離は50~100m以下を目安にするのがよい。
コンクリート標準示方書 施工編 2012年 P113
ちなみに、運搬と同様に現場での打ち込み完了にも制限があります。
練混ぜから打ち込み完了まで
外気温 | 練混ぜから打ち込み完了まで |
25℃未満 | 120分 |
25℃以上 | 90分 |
なお、打ち込み完了というのは、型枠の中にコンクリートを流し込むところまでになります。
また、コンクリートの打ち込みについては、下層のコンクリートとの許容打重ね時間についても決まりがあります。
外気温 | 許容打重ね時間 |
25℃未満 | 150分 |
25℃以上 | 120分 |
下層のコンクリートの締固めが完了してから、上層のコンクリートが打ち込まれるまで時間です。
基本の覚え方は、 打ち込み完了時間+30分です。
コンクリートの打設は何でやるんですか?
大規模になるとポンプ車でやることが多いです。
大規模なコンクリートの打設においては、ポンプ車の打設が中心です。
ポンプ車の選定にあたっては、圧送負荷、単位時間当たりの打ち込み量や、1日の打ち込み量を考量して設定する必要があります。
ポンプ車の選定や注意点について、詳しく解説します。
コンクリートポンプの使用にあたっては、様々な条件を考慮し、どの程度の能力のポンプを使用するのか考慮します。
施工条件より圧送負荷を求め、コンクリートポンプの能力を比較し判断
圧送負荷は、管内圧力損失およびコンクリートの自重により以下の式により算出します。
圧送負荷はJASS5で次式により算定します。
P=K (L+3B+2T+2F) Wo H x 10-3
P:コンクリートポンプに加わる圧送負荷 (N/mm2)
K : 水平管の管内圧力損失 (N/mm2/m)
L : 直管の長さ(m)
B : ベント管の長さ(m)
T: テーパ管の長さ(m)
F : フレキシブルホースの長さ(m)
W0: フレッシュコンクリートの単位容積質量(t/m3) に重力加速度 (10m/s2) を乗じたもの(kN/m3)
H: 圧送高さ(m)
この式で求めた圧送負荷が、 コンクリートポンプ車の性能以下であればOKです。
先ほどの式にある係数K (管内圧力損失)は、コンクリートの種類やスランプ、吐出量、管径によって決まります。
管内圧力損失は、
スランプが小さいほど、圧力損失が大きくなる、
管径が小さいほど、圧力損失が大きくなる
吐出量が増えるほど、 圧力損失が大きくなる
コンクリートポンプ車は、コンクリートの品質の変動などを考慮して、圧送負荷Pの1.25倍以上の吐出能力のあるものを使用します。
求めた最大圧送不可に対して、コンクリートの品質変動や機械的損失を考慮した係数 (1.25)を乗じて必要理論吐出圧力(1.25Pmax) を算出する。
コンクリート標準示方書 2012年施工編 P109
コンクリートポンプ車による打設での注意点
コンクリートポンプ車の打設については、以下の点で注意が必要です。
・生コンを圧送する前に、先送りモルタルを圧送し配管内に通す
・圧送はできるだけ連続的になるように打設計画を立てる
・配管の距離はできるだけ短く、曲がりの数が少なくなるように定める
・配管の段取り替えは閉塞の要因となるため、 配管の段取りが生じないような打設計画にする
コンクリートの圧送に先立って、ポンプ車のホッパーやホースの潤滑性を確保するため、潤滑剤として先送りモルタルを圧送します。
先送りモルタルは本体の生コンよりW/Cが低いものを使用し、原則として型枠内には打ち込みません。
コンクリートの運搬について解説しました。
運搬に関する基準や、 運搬方法の選定にあたって考えることが理解できたと思います。
・生コンの運搬とは、製造地点である生コン工場から工事現場における打ち込み箇所まで運ぶこと
・運搬可能時間は1.5時間以内
・現場内のコンクリートの運搬は、「バケット」 「シュート」 「ポンプ車」による打設が一般的
・ポンプ車の選定は、現場の条件より圧送負荷を求め、それより性能が良いポンプ車を選ぶ
以上、コンクリートの運搬について解説しました。
この記事が気に入ったら
フォローしてね!
『つちとき』にコメントする