ネットワーク式工程表の書き方!1級土木施工管理技士が徹底解説
ネットワーク式工程表って何ですか?
工程表の種類の一つで、工事全体の流れをつかむのに効果的な工程表です。
あんまり見たことない工程補油ですが、書けるようになりたいです。
1級土木の試験にも出るので、しっかりと覚えましょう。
・ネットワーク式工程表がわからない
・ネットワーク式工程表の「メリット」 「デメリット」がわかならい
・ネットワーク工程表を作成する手順をしりたい
こんな疑問を解決します。
・ネットワーク式工程表の概要について
・ネットワーク式工程表の書き方
・ネットワーク工程表のメリット・デメリット
この記事では、ネットワーク式工程表の概要から書き方、メリット・デメリットについて解説しています。
これを読み終えれば、どんな時にネットワーク式工程表を書けばいいのか理解できて、 実際にネットワーク式工程表が書けるようになれます。
執筆者
当サイトの運営者ぜねたの詳しいプロフィールは、コチラです。
また、実際に工程表を使うような[現場監督の仕事!現場経験7年の元ゼネコンマンが徹底解説] で詳しく解説しています。
ネットワーク式工程表とは
ネットワーク式工程表ってどんなものですか?
工事全体の流れを把握するのに最適な工程表です。
ネットワーク工程表は関連する作業の項目をつなぎ、 工事全体の流れを示すことができる工程表です。
工事全体でどの作業が工程に影響を与えるような重点的に管理する必要がある作業なのか一目でわかります。
土木工事では、 2~5年などの期間にわたって行う工事など、 工事全体の流れを管理するために用いられます。
1級土木施工管理技士の試験でも出てくるので、 しっかりと覚えましょう。
ネットワーク工程表の特徴
ネットワーク工程表には以下のような特徴があります。
工事全体の流れが分かりやすい
工事で最も時間を要する経路が分かる
各工事の関連性が分かる
他の作成には工程表に比べて、作成には熟練を要する
なお、 主な工程表との比較は以下の通りです。
▼他の工程表との比較
ネットワーク工程表は、わかることが多いですが作成に手間を要し、 難易度が高い工程表です。
ネットワーク式工程表の用語
よくわかない用語が沢山あってパンクしそうで・・
一つ一つはそれほど難しくないので、一緒に確認しましょう。
ネットワーク式工程表には独自の専門用語があります。
以下で、ネットワーク式工程表の用語とその意味を解説します。
ネットワーク式工程表の用語 ① イベント
イベント
各作業の結合点になります。
左から右に向かって、 作業の順番通りに数字が大きくなります。
ネットワーク式工程表の用語 ② アクティビティ
アクティビティ
作業の開始から終了までを意味します。
ネットワーク式工程表の用語 ③ ダミー
ダミー
所要時間が0の擬似作業になります。
ネットワーク式工程表の用語 ④ クリティカルパス
クリティカルパス
クリティカルパスの日数が、工事に要する日数になります。
クリティカルパス上の作業が遅れるとダイレクトに工事が遅れるので、重点的に管理する作業になります。
ネットワーク式工程表では、 どんな作業に注力するべきか一目でわかるのがメリットです。
上図の場合、 A→B→C→Fがクリティカルパスになります。
ネットワーク式工程表の用語 ⑤ フロート(スラック)
スラックとは
クリティカルパスを基準に対して、 どれだけ余裕があるか示します。
この事例では、パスⅠに対してパスⅡにはフロートが4日あるといいます。
最早開始時刻
最早開始時刻
複数の経路がありイベントに対して複数の矢線がある場合 (ダミーを含める)、最大の値を取ります。
パスⅠ:8日
パスⅡ: 9日
この場合、イベント5の最開始時刻は8日となります。
最早開始時刻がわかることで、 ”材料や作業員がいつ必要になる”か知ることができます。
最遅完了時刻
最遅完了時刻
工事現場では、「遅くても何日までに終ええなくてはいけないのか」理解することは工程管理上、大切なことです。
イベント⑥における最遅終了時刻 9
イベント⑤における最遅終了時刻 8
イベント ④ における最遅終了時刻 5
イベント③における最遅終了時刻 8
イベント②における最遅終了時刻 1
求め方は、最終のイベントの最終了時刻からそれぞれのイベントにかかる日数を引いていきます。
ネットワーク式工程表のルール
用語も理解できたので、早速工程をひいてみようと思います。
その前に、ネットワーク式工程表を書く際のルールを今一度確認しましょう。
ネットワーク工程表を作成する際の基本的なルールは、以下の通りです。
ネットワーク式工程表の基本的なルール
① アクティビティーの上部(矢線の上) 作業番号と工種を記入
(例: A: 足場組立、 B: 鉄筋組立、 C: 型枠組立)
② アクティビティーの下部 (矢線の下)に作業日数を記入
(例: 3日 5日 7日 )
③ アクティビティーは、 作業の進行方向へ向ける
(基本:左から右)
④ イベントの番号は、 作業が進行するほど大きな整数を記入
⑤ アクティビティーの作業が完了しないと、次の作業にかかれない
(並行する場合は別のアクティビティーを記入する)
ネットワーク式工程表の作成手順
実際工程表ってどうやって作るんですか?
工程表は 2STEP で作成できます。
ネットワーク工程表の作成は、 2STEPで行うことができます。
ネットワーク式工程表の作成手順 ① 工事内容をリストアップ
必要な作業及び必要な日数を拾い出します。
次に、 拾い出した各工事において工事の進捗や関係性をまとめます。
作業A(1日) が完了、 作業BとCが同時に開始
作業B (3日)が完了 → 作業Dを開始
作業C (7日) と作業D (3日)が完了 作業E (1日)を開始
これをさらに表にすると、 理解が深まります。
ネットワーク式工程表の作成手順② ネットワークの作成
先ほどの表を例に解説していきます。
工事全体の流れを可視化して、ネットワーク化していきます。
① 最初の作業Aを表示
②作業Aの後の作業を、平行作業として表示する
③このように繰り返して、 作業ネットワーク工程表を完成させる
ネットワーク式工程表のメリット・デメリット
ネットワーク式工程表って何が良いところなんでしたっけ?
どの工程表も一長一短がありますので、今一度整理しましょう。
ネットワーク式工程表のメリットとデメリットを、今一度整理して解説します。
先ほどから何度か解説しているので、重複している部分があるかもしれませんがポイントを押さえるためにも確認しましょう。
ネットワーク式工程表のメリット
ネットワーク工程表のメリットは以下の通りです。
・工事全体の流れが可視化できる
・各工事に必要な日数が明確になる
・各工事に従事する順番が明確になる
・クリティカルパスが明確になる
工事全体の流れが一目でわかるようになり、作業の順番が明確になります。
ネットワーク式工程表のデメリット
ネットワーク式工程表の最大のデメリットは、作成に時間がかかり、それなりの習熟度がある技術者が作る必要があることです。
また、全体の出来高の進捗が一目ではわかりづらいということも特徴であります。
デメリットもありますが、工事を管理するのに便利な工程表です。
作業の種類や工事の規模、工程の数によって、 ネットワーク工程表が必要かどうかよく確認して工程表を作成しましょう。
ネットワーク式工程表を使ってクリティカルパスを求める例題
ネットワーク式工程表について理解が深まりました。
さらに、一つ例題として、過去に1級土木施工管理技士の試験で出た問題を解いてみましょう。
一級土木施工管理技士の試験で出てきた問題です。
<答え>
1の当初工期より1日遅れる
経路A:①→⑤→⑦:7日+6日+12日=25日
経路B:③→⑤→⑦:6日+12日+12日=30日(経路AにダミーCが影響するため6日)
経路C:②→④→⑤→⑦:6日+4日+6日+12日=28日
経路D:②→⑥→⑦:6日+8日+11日=25日
よって、この作業全体に要する日数は30日。
そこから、経路Bが3日遅延するため31日。
なので、答えは1の当初工期より1日遅れる。
【まとめ】ネットワーク式工程表の書き方
ネットワーク式工程表について 概要から用語や実際に書く手順を解説しました。
ネットワーク式工程表について理解が深まったと思います。
・ネットワーク工程表は関連する作業の項目をつなぎ、 工事全体の流れを示すことができる工程表
・ネットワーク工程表のメリットはクリティカルパスがわかること
・ネットワーク工程表は「工事全体の流れが分かりやすい」「工事で最も時間を要する経路が分かる」「各工事の関連性が分かる」「習熟度がある技術者が作る必要がある」といった特徴がある
・ネットワーク工程表の作成は、①工事内容をリストアップ②工事全体の流れを可視化してネットワークにするの2STEP
以上、ネットワーク式工程表の書き方について解説しました。
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